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機嫌 ページ18

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「やぁあだぁああ!まぢ無理!イケメンを離したくなぃ!!」

 ゴリ子(もとい)鮴谷(ごりや)さんは鼻水を盛大に垂れ流せながら号泣し、土方さんに抱きついていた。が、しかし。当の本人の土方さんは物凄く嫌な顔をしながら相手が女というのも忘れ、彼女の顔面を抑えつけ離れようとしている。そして彼女の背中には志村君が押さえ付けて土方さんから離れさせようとしている状況。
 思わず溜息が零れ、危うく自分の目的を忘れかけていた。私が居ても居なくても見合いは元々失敗に終わりそうだなと少しばかり思ってしまうくらい、事態は無茶苦茶であった。
 彼女の父親は余りの滅茶苦茶振りに泡を吹いて倒れ、近藤さんはそれを介抱し、神楽ちゃんは出された本格的和食料理を口の中に放り込んでいた。そしてもう1人、彼女と一緒にやって来た男は私の隣でジッとその状況を見つめていたと思いきや視線の先はまさかの別のもの。

「…何でそんなジッと見つめるの」

 そう、その男。坂田銀時はムスッとした表情のままずっと私を見つめていたのだ。相変わらず私の事を嫌っている様子。それなら関わらなければいいのになんて思ってしまう。

「いやァ別に。お前も恋愛なんざするんだなァって思ってよ」
「するでしょ。私を何だと思っているの」
「他人と関わる事をああまで避けてきた女が?」
「…」

 痛い所を付かれてしまい何も言えなくなる。この男は私の幼馴染の1人だ。誰よりも私の事をよく知っているし誰よりも私の近くで生きてきた男。だからこそ私に恋人という存在の人間を近くに置いている事に彼は驚きを隠せないのだろう。いや、もしかしたら信じていないのかもしれない。その説は大いにある。だが何としてでも隠し通さなければ私の身が危ない。私はとぼけたフリをしながら「人は変わるものよ」と言ってその場を濁した。

「ふーん。大串君といつから付き合ってんのよ」
「言わない」

 つい先日ですなんて口が避けても言えない。それに鼻クソをほじってるこんな男に知られたら私も土方さんも終わる。と言うかコイツどんだけ鼻クソほじるんだよ鼻の中えぐれるぞ。

「A!」
「は、」

 急に土方さんに名前を呼ばれ、返事をする間も無く手を引かれた。そして気付くのは唇への違和感。目は見開かれたままだ視界に写るのは土方さんの長い睫毛。長っェなオイ。

「は…?」
「すまねェ」

 あっけらかんとした表情で私は自身の唇を押さえて黙り込んだ。チッスされちった。

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いくま(プロフ) - ふぉい!さん» 選ばれたのは綾〇ですよ((ニコッ (2018年7月24日 8時) (レス) id: 8c955fc7fb (このIDを非表示/違反報告)
ふぉい! - 選ばれたのは綾鷹wwww (2018年7月2日 19時) (レス) id: 1633712eeb (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - マピトさん» コメントありがとうございます。一番だなんてとんでもないです。。。私もずっと土方さん推しなのでマピトさんの小説読んできます! (2018年4月5日 14時) (レス) id: 8c955fc7fb (このIDを非表示/違反報告)
マピト - 今まで見てきた小説の中でこの小説が一番良いなと思いました。 私も土方オチの小説を書いているので見習いたいと思います! (2018年4月5日 11時) (レス) id: 9353c4256d (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - ユラさん» コメントありがとうございます。瞬時に思って頂き光栄です、笑しかし文才が皆無なのでこらから無茶苦茶展開になると思いますが、これからもよろしくお願い致します。 (2018年4月4日 12時) (レス) id: 8c955fc7fb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:いくま | 作者ホームページ:http  
作成日時:2018年4月2日 20時

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