274 大好きな声 ページ24
『え…あの……え、ちょっと待って…もらえます？』
急に耳が聞こえるようになって
パニックになる。
赤葦「……いや、俺もちょっと…
訳わかんない……んだけど……」
また！
また声が聞こえる…！
どうなってんの！？
『…貴方は……ミカの紹介で来た人ですか？』
とりあえずクライアントなら…と思って
もう一度彼に目を向ける。
赤葦「…はい、そうです……けど……
あの、間違いだったらすいません…
俺と会った事…ありますか？」
初めて会ったはずなんだ。
話した事なんて無いはずなんだ。
なのに…
それなのにどうしてこんなに心が落ち着くんだろう
どうしてこんなに…
目の前の彼と……離れたくないと感じるんだろう。
『…来栖…Aです…』
って言った瞬間、彼の目が驚いたように大きくなる
赤葦「……本当に…？
やっぱりAなの…？」
『はい…Aです…よ？
あの…お名前は？』
もう耳に届く声が…
さっきから頭に響いて痺れるような感じがする。
でも辛いわけじゃない。
甘い麻酔にかかってるみたいで….
少し心地良いとさえ感じる。
声だけじゃなくて…
彼のことももっとよく見たいと思い、下を向いたままの不思議な人に近付く。
…近付こうとしたんだけど…
赤葦「待って……今は…無理…っ」
って苦しそうに言いながら
彼は顔を片手で抑えて後ずさった。
『ど、どうしました？大丈夫ですか…？』
具合悪くなったのかもしれない
そう思うと胸がきつく苦しくなる。
待ってと言われても
彼の元へ向かう自分の足は止められなかった。
目の前まで行って、顔を抑えていた彼の大きな手に触れる。
赤葦「っ……A、今の俺を見ないで…」
どうして…彼が頑なに顔を抑えてたのか分かった。
泣いてたんだ
苦しそうに…綺麗な目を赤くして…
『…もう泣かないで？』
そう言って彼の首に腕を回して優しく抱き締める。
赤葦「…A…っ？」
…勇人にするのとは違って…
自分の心臓が
ありえないほど大きな音を立てて動いてる。
ドクン
ドクン
って規則正しくなる心臓の音と共に
溢れ出す彼との思い出。
『何も言わずに居なくなってごめんね…
赤葦』
そして…
こんなウチの為に涙を流させてごめんね
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らっかせい - 泣きました… (2021年7月21日 19時) (
レス) id: ac50ef14ea (このIDを非表示/違反報告)
夏希 - 話だと思いました！〈途切れてすみません〉精神の病気って一番怖いのではないかと思いました。主人公のように、自分が。自分が誰かを助ける。そういう考えで生きたいと思いました！感動をありがとうございました！ (2018年3月31日 17時) (レス) id: af72519e86 (このIDを非表示/違反報告)
夏希 - 一気に全部読みました！最後もう感動でした！というか読むの二回目ですけど(笑)正直、出てくる登場人物がうだうだしすぎてモヤモヤしていましたし、なんでそうなるかなーと思ったりしてましたけど。でも、やっぱり全部を通してすっごいい (2018年3月31日 17時) (レス) id: af72519e86 (このIDを非表示/違反報告)
*posu*polejump(プロフ) - なかなか読むことが出来なく、今読み終わりました。 やばい涙で画面が見えない！最高でした！ (2018年1月25日 13時) (レス) id: 43ac6ebefc (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - イッキ読みしました！！！とても話に引き込まれて、すごく心にスッと入ってきて感動しました！！ (2017年10月29日 5時) (レス) id: b28bc73f98 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：らん | 作成日時：2017年8月30日 22時
