7人の極道。…参

◆北山 ページ12

そう……

7年前と違うのは……

向こうには裕太。

ようするに……“人質”がいることだ。



奴等だってバカじゃない。


当然、俺達が組長１人で敵地に行かせる訳がないことくらい……分かっているはずだ。


それを踏まえた上で……

俺達が来るのを待ち構えているわけで。




・・・・・何か引っ掛かるな。





「……なあ。

木須組の狙いは……お前じゃないのか？」


藤ヶ谷が呟く。


『・・・俺？』



「“玉森組の脅威”と言われてるお前をまずは潰す。

その後に玉森組に数を揃えて乗り込む。

俺なら、そうする。

お前は玉森組の柱だ。

組長よりお前の方が厄介だからな。」




「……じゃあ何故、若頭を？」


センがハンドルを握りながら尋ねる。




『……裕太の存在が……

俺と組長にとって絶好の鴨になるから。』




確かに……

裕太を人質にしちまえば

俺と組長は確実に助けに来る。





「つまり。

玉は取り引きの品物だ。それも上物の。

お前と組長の命と引き換えに……な。

まあ、勿論……

お前らが死んだところで
玉が助かる保証は何処にもないがな。」



藤ヶ谷の言葉に前を見据えた。




『……で、宮田は？』




俺の問いかけに藤ヶ谷は……



「王子様は後から登場だ。」



意味深に笑った。

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