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✿104 ページ10

「…千賀の事はもういいのか?」

ミツに問われフッと笑みをこぼす。

昼下り、俺とミツは御目見え以上の稽古を見学していた。

視線の先には今日も汗水垂らし稽古に励むニカと千賀。

楽しそうにニカと手合いをしている千賀を見つめる。


『もう終わったことだ。‥‥それに。』

ミツを自室【鈴蘭の間】に呼び、何枚かの文を見せた。



差出人の名を見てミツは驚いた顔で俺を見る。

『実は、何通か文のやり取りをしているんだ。』

この"文通”が今の俺の生き甲斐。



「…そうか。横尾さんも進んでるんだな。

蘭の問題が片付いたら会いに行くといい。」


ミツは中身を読むことはなく微笑んで文を返してくれた。


そう、俺は進んでるよ。···ミツ。


『ありがとう。ミツ、太輔と話し合えた?』

俺の問いかけにミツは微笑む。

その表情は、悲しそうだ。



「蘭とのこと聞かれて正直に話したよ。
俺のこと本気で好いてくれていたようだけど
嫌悪感ができたみたいだ。
···当たり前だよな。
アイツのこと裏切ったような気分だ。」


ミツの消え入りそうな言葉の向こうで

ニカと千賀の笑い声が聞こえた。

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作者名:いっぽちゃん | 作成日時:2023年4月13日 20時

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