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何で‥‥この男はこうも簡単に俺の心を惑わすんだろう。


「蘭と恋仲だったのも、
お前のその素っ気無い態度もほんっとに胸糞悪い!
……だけど、俺はお前をあの甘味屋で初めて見た時から
お前が欲しくて、欲しくて堪らなかった。
好きなんだ…。
腹を斬るなんて許さない!
蘭が奪った沢山の命の分までお前は生きなきゃいけない。
それがお前の罪滅ぼしだ。
……まあ、この事は追々ゆっくり決めればいい。
今は玉の想いを引き継ぎ大奥を焼き払い
蘭の取り巻きを斬ることに集中しろ。」


藤ヶ谷に渡された真剣を受け取る。


『‥‥ありがとう。』


背を向けた藤ヶ谷に聞こえないぐらいの小声で呟いた。



蘭は…裕太に任せる。

裕太が終わらせてくれると信じて。

俺は、この大奥の行く末を最後まで見届ける。


それから、大広間に大奥に住まう者全てを集め
上様のお言葉をありのままに伝えた。

御目見え以下の者たちは役を解き、
急ぎ荷物を纏め出ていくよう伝えた。

御目見え以下の者たちはまだ幼いものが多い。
こんなところで命を散らすべきではない。



血を流すのは御目見え以上の者で充分だ。

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作者名:いっぽちゃん | 作成日時:2023年4月13日 20時

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