✿大奥に咲く七輪の華✿ (ページ21)

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『……どうなるんだろうなあ。この国は。』

大奥が無くなるまで後数日。

俺は縁側に座り刀の手入れをしていた。

【柊の間】で正座して
書物をしている千賀をチラッと見る。

上様に渡されたと言う絵巻録を書き進めている。

「いつかは無くなるもの。
それが俺達が生きてる時代だったってだけ。
俺は上様の考えは正しいと思うよ。
凄い方だよ‥‥あの御方は。」

筆を進める千賀を見る。

以前は一緒に時を過ごしていたこの【柊の間】。

大奥が無くなるまでの僅かな日数。

千賀が【柊の間】で過ごすことになった。

上様の計らいかと思ったが
聞いたところによると横尾さんが計らってくれたらしい。

‥‥‥ってことは。

横尾さんのこの"粋な計らい“を無駄にしたくない。

刀を鞘にしまい、千賀へと近づく。

そして、その手を取る。

『‥‥千賀はここを出たら何処へ行くの？』

一緒に···一緒に暮らしたい。

俺が次の言葉を発しようとした時、

千賀は筆を止め、俺の方に向き直った。