✿大奥に咲く七輪の華✿ (ページ15)

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『裕太様、何か隠し事していませんか？』

2週間ほど前、
上様の異変に気づいた俺はその晩に上様の御所を訪れた。

上様の異変なんてすぐに分かる。

上様のこと、愛しているから。

俺の問いかけに
上様は何処か諦めがついたような表情をして口を開いた。

「蘭に向けて送った文は
大奥へと誘ったわけじゃないんだ。
皐月の三ヶ日、
城下を下った桜川の河原下に蘭と会う約束を取り付けた。
···そこで蘭を斬る。」

『何で···相談もなしに。』

「蘭は俺だけじゃなく大奥にいるミツも狙ってるはずだ。蘭とミツを会わせる訳にはいかぬ。
俺を斬るつもりなら正々堂々蘭と手合わせしたい。」

『それなら、俺が斬ります。
俺はあの時、蘭に負けた。俺が蘭を斬る。』

俺の言葉に上様は苦虫を噛み潰したような表情をする。

「何度言えば分かる！これは俺と蘭の問題だ。

お前を巻き込むわけにはいかぬ！！」

上様の怒号にも俺は言い返す。

『俺は！！貴方様の盾になると言ったでしょう！
俺を使ってください！！
貴方様は上様です！
何かあってからでは遅いのです！！！』

夜更けにも関わらず声を張り上げる俺達だが

誰も止めに入ってこなかった。