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皐月三が日✿


新緑が月の光に当たり鮮やかに色変わる夜。

向かったのは蘭と初めて会った河原。

そこに佇む古小屋。

何年も経っているのにあまり姿は変わらない。

トタン屋根が少し歪になったぐらいか。

ヒューヒューと隙間風が吹いている。

この季節にしては嫌に生暖かい風だ。

足を進めると苔岩に座り煙管を加えている蘭がいた。



「約束通り、来たぜ。」


蘭が俺の足に向かい、投げたのは一通の文。


俺が蘭に送った文だ。


「大奥に来いじゃなく、
ここに呼びつけてくるとは···予想してなかった。
約束通り、一人で来てやった。
まさかお前も一人で来るとは思わなかったけど。
‥‥だいぶ背が伸びたな。」


蘭が立ち上がり、近づいてくる。

俺の目の前まで来て向かい合う。


蘭も、かなり大人っぽくなっていた。

もう青年ではなく、男だ。

長かった髪も短髪になっていた。


禍々しい黒い墨が何箇所も彫ってあった。



「なあ?あの男···名前何だっけ?
宮田?だっけ?アイツともう寝たの?」



蘭の手が俺の耳を撫でそのまま後頭部をガッと掴まれ
唇を押しあてられた。

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作者名:いっぽちゃん | 作成日時:2023年4月13日 20時

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