8-出会い ページ9
「っぜー、っぜー、っあ、っあの、っはー」
「あれ、速過ぎた? ごめん」
「ってめ、……息切れ一つ、っはー、してねえのかよ? ……ぜえ」
常識の範囲内で走ったつもりだったが、速過ぎたかもしれない。肩をしきりに上下させる少年に、俺は笑った。
「悪いな少年。あと意外と見た目に反して口が悪いねえ」
「え? あ、ああ、いや、今のは」
ようやく息が整ってきた少年は、はっとしてから笑顔を取り繕った。
「その、ごめんね助けてもらっちゃって。でも、君も危ないところだったし、今度からはあまり」
「関わってくんなカス?」
「うえっ!? な、何を言って」
いや、どう考えても今の言葉そういう意味だろ。俺は生温かい目で答えた。
「取り繕われてもさっきの言葉で何となく……ねえ?」
その目で見られた少年は顔を引きつらせてから、半ばやけくそで言った。
「あー分かったよ! 助けてくれてありがとうな余計なお世話だよカス! 分かったらさっさと消えろゴミが!!」
「わあお口悪い。君名前は?」
「は? 教えるわけねえだろさっさと消えろ死ね」
「うーんとても辛辣。まあこれからよろしく少年」
「よろしくなんかするかよ」
そう目の前の少年──明智吾郎は、悪態をついて見せた。
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