孤独 ページ23
Aside
目が覚めた。
一番初めに目に入ったのはコトブキ大社の鳥居だった。行燈の光にテラテラと照らされいて、少し幻想的であった。周りを見渡しても、人影は見当たらなかった。村に戻って来れたということなのだろうか。さっきまでの出来事は全て夢だったのだろうか。そう、不安になる程先程までの出来事の記憶が薄れていっているからだ。まず此処は私が住んでいた村なのだろうか。孤独感も相まって不安だけがどんどん募っていく。
一度自分の家に帰ってみよう。不安を掻き消す方法なんてその位しか無かった。少なくとも今の私にはそれしか思い浮かばなかった。階段を足早に下っていく。風が吹くたびに木の葉がザワザワと呻き恐怖心を煽られる。残り数段となったところで、村の子供達の笑い声が聞こえてきた。階段を降り切ったところで笑い声の発信源である子達の姿が見えた。
今までの出来事は全て夢だったのだと信じざるをおえなかった。村に戻って来れたという安心感から不安を煽る物は全て消し去ってしまいたかったから。子供達が見えたところで早足気味だった脚を大きく動かし全速力で家へと向かう。
家が見えた頃には、脚は疲れきり、息がこれでもかと言うほど上がっていた。そんな事どうでもよかった。早くただいまを言いたい。家族のおかえりなさいを聞きたい。ノックをし、中から人が出てくるのを待つ。
「はーい」
お母さんの声が聞こえてくる。少し甲高くて良い意味でも悪い意味でもお母さんの声だと分かりやすいこの声。今では懐かしさすら感じてしまう。
ぱたぱたと足音を鳴らしながら近づいてくる。そして玄関の扉が勢いよく開けられる。すると、そこにはいつも通りのお母さんの姿があった。派手すぎず地味すぎない服を纏っていて指には結婚指輪とお気に入りの指輪が中指と薬指にハマっている。
『ただいま！お母さん』
涙ぐみながら元気良く言う。涙で少しぼやけた視界を鮮明化させるとそこには私に虫を見るような視線を向けているお母さんがいた。おまけにお母さんの口から出た言葉は、耳を疑いたくなるような言葉だった。
「誰ですか？」
頭を鈍器で殴られたような衝撃を受けた。状況の理解が追いつかなかった。こんな事何かの間違いだ。間違いであって欲しかった。しかしそんな願いはすぐに砕け散ってしまう。
「早く出ていって下さい。気味が悪い。」
そう簡潔に言いピシャンと漫画くらいでしか見たことが無い効果音が聞こえてくるほど勢いよく戸を閉められた。
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あまね(プロフ) - すき (8月8日 4時) (
レス) @page28 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
ふぉっさ(プロフ) - 彩雲朱瑠璃さん» 返信、遅くなってしまい申し訳御座いません。感想だけで無く、アドバイスまで頂けるなんて感無量です。その、助言有難く頂戴致します。更新は不定期になってしまいますが、乞うご期待を。 (2022年7月25日 12時) (レス) id: c787972aae (このIDを非表示/違反報告)
彩雲朱瑠璃(プロフ) - すごく面白くて好きです！あ、あともしかしたら１ページ目のはないちもんめのところ、「ちょっとおいで」じゃなくて「ちょっと来ておくれ」かもです。在住地違いなどもあるかもしれませんが… (2022年7月18日 21時) (レス) @page1 id: b1698b1cbf (このIDを非表示/違反報告)
ふぉっさ(プロフ) - 名無しくんさん» 返信遅くなり、申し訳ございません。初コメ有難うございます。更新は不定期ですが、これからも頑張りますので、乞うご期待を宜しくお願い致します。 (2022年5月22日 10時) (レス) id: c787972aae (このIDを非表示/違反報告)
サラ(プロフ) - とても素敵な作品ですね！私には書けない…すごいです！なんかこう…すごいです！(語彙力０)これからも頑張ってください！ (2022年4月14日 22時) (レス) @page9 id: 271b6082c9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：。 | 作者ホームページ：
作成日時：2022年4月1日 12時
