義母 ページ24
Aside
「早く出ていってください。気味が悪い。」
気がつけば泣いていた。視界がぼやけて、涙が溢れて何も見えなくなってしまった。でも、今の自分が誰よりも惨めだと言うことは鏡で見ずとも分かった。こんな自分誰にも見られたくなくて、ただひたすらに走った。
森まで来てしまった。熊や猪が出るかもしれない。そんな事今は警戒する間もなかった。息が切れ、顔は涙と鼻水でぐちょぐちょ。全身汗だくで、着物は見るに耐えないほどボロボロになってしまっていた。糸がほつれ、裾や袖口はところどころ切れてしまっていた。
「どうしたんですか？」
突然視界の端からひょこっと現れた。驚きよりも、こんな姿を知らない人に見られてしまったことに対する恥ずかしさが遥かに上回った。
『…っ誰、？』
「トントンやで。宜しゅうな〜。
ところで、なんかあったん？俺で良かったら話聞くで。」
陽だまりの様に暖かい、母の様な安心感を醸し出していた。今の私にとってはそれだけが救いで、今までの事を吐き出さずにはいられなかった。
tn「そんな事があったんやな。俺がそんなわかった様な口言えるモンや無いけど、辛かったなぁ。Aは偉いなぁ。そんな辛い事があっても、他に当たり散らさんねんもんなぁ。ぜーんぶ一人で抱え込んじゃうんやもんな。優しさの塊やんなぁ。其れなのに、周りの奴等は一切気づいてくれへんねんもんな。」
何故この人は私の欲しい言葉をかけてくれるのだろうか。久しぶりに人に頼る暖かみを感じ、またもや涙が溢れてきた。話している時だって、何も言わずに相槌だけ打ってくれた。ずっと背中をさすってくれていた。この人の優しさが一つ一つの行動から垣間見える度に、冷え切った心が温められていく。
tn「幾らでも、頼ってええんやで。少なくとも、俺は全然迷惑やと思わんし。」
涙が溢れて止まらない。言葉だけの暖かみではもう足りなくなってしまって、思わず抱きついてしまった。彼は吃驚していたが、怒りもせずずっと背中をさすってくれていた。
そのまま、眠りについてしまった。まるで、幼児の様に泣きじゃくりそのまま寝てしまったと考えると少し格好悪いと感じてしまうが、そんな事お構いなしに意識は深く沈んでいった。
tn side
tn「…やっと寝た。なんでこんなガキのお守りせなあかんねん。彼奴俺らの事こき使いやがって。今日という今日は許さん。」
耳障りな寝息が聞こえてきたところで本音が無意識に口からポツリと溢れた。
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あまね(プロフ) - すき (8月8日 4時) (
レス) @page28 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
ふぉっさ(プロフ) - 彩雲朱瑠璃さん» 返信、遅くなってしまい申し訳御座いません。感想だけで無く、アドバイスまで頂けるなんて感無量です。その、助言有難く頂戴致します。更新は不定期になってしまいますが、乞うご期待を。 (2022年7月25日 12時) (レス) id: c787972aae (このIDを非表示/違反報告)
彩雲朱瑠璃(プロフ) - すごく面白くて好きです！あ、あともしかしたら１ページ目のはないちもんめのところ、「ちょっとおいで」じゃなくて「ちょっと来ておくれ」かもです。在住地違いなどもあるかもしれませんが… (2022年7月18日 21時) (レス) @page1 id: b1698b1cbf (このIDを非表示/違反報告)
ふぉっさ(プロフ) - 名無しくんさん» 返信遅くなり、申し訳ございません。初コメ有難うございます。更新は不定期ですが、これからも頑張りますので、乞うご期待を宜しくお願い致します。 (2022年5月22日 10時) (レス) id: c787972aae (このIDを非表示/違反報告)
サラ(プロフ) - とても素敵な作品ですね！私には書けない…すごいです！なんかこう…すごいです！(語彙力０)これからも頑張ってください！ (2022年4月14日 22時) (レス) @page9 id: 271b6082c9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：。 | 作者ホームページ：
作成日時：2022年4月1日 12時
