街 ページ13
Aside
私は生にしか縋る事が出来ない。きっとこれを周りに言ったら友人も家族でさえも、口を揃えてこう言う。
「あぁ、醜い。」
そんな事、百も承知だ。別に醜くてもいい。その醜さに気づいていない馬鹿共より、よっぽどマシ。私は、ヒロインでも悪役でも無い。それ以前に、人間だ。ヒロインのように誰にでも好感を持てる訳では無いし、悪役のように、誰かを人前で虐める勇気なんて持ち合わせている筈もない。
ただ生きる。それが一番私にとって大事なこと。
生きる為には命を、何よりも大事に守らなければならない。そのおかげで、いや、そのせいで、小さな事でも人一倍怯えてしまう。コネシマさんがいつ、どこで私を殺すか分からない今、ただ怯えることしかできないのだ。
『ごめん、なさい。今後、気を、つけます。』
私の心中を少しは察してくれたのだろうか。行こか、とだけ言い、元来た道を少し早足気味に歩いて行った。私はそれに只々沈黙を決め込みながらついて行った。
先程と同じように、障子や襖に挟まれている道を少し早足気味に進んでいく。一部の床が劣化してしまっているのか、一歩踏み出すとギシっと鈍い音が聞こえた。
元居た部屋へと戻って来た。
突然、コネシマさんが、遅いなぁ、とひとりでに苛立ち始めた。八つ当たりで殺されるかも知れないとビクビクしながら、じっと座った。暫くすると、カランカランと、軽やかな下駄の音が村へと繋がる障子の奥から聞こえ、次に、
「旦那〜、迎えに来やした」
と、今の雰囲気には似つかわしく無い元気な声が聞こえてきた。
座って居たコネシマさんが立ち上がったので、私も立ち上がり声がした障子へと向かうコネシマさんの、後を着いて行った。
コネシマさんが障子を勢いよく開け、外の景色が露わになった。
私が住んでいた村からは、ほど遠く、提灯がギラギラと店の暖簾を照らしていて、目が少し痛くなった。いかにも、都会、という雰囲気を醸し出していて此処は今までいた村では無いと確信した。
『此、処は？』
「此処は、妖怪や神様が暮らす街でござんすよ、御嬢さん。
御嬢さん別嬪さんですねぇ。妖怪？神様？もしかして、人間？いやぁ、冗談ですよ。所謂ジョークって奴っすよ。
オイラは豆腐小僧のフータって言いやす。今から此処の街を案内するでやんすよ。何処か行きたいとこありやすか？」
ハイテンションな彼について行けそうにないが、それはコネシマさんも同じらしい。少し微笑ましくなった。
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あまね(プロフ) - すき (8月8日 4時) (
レス) @page28 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
ふぉっさ(プロフ) - 彩雲朱瑠璃さん» 返信、遅くなってしまい申し訳御座いません。感想だけで無く、アドバイスまで頂けるなんて感無量です。その、助言有難く頂戴致します。更新は不定期になってしまいますが、乞うご期待を。 (2022年7月25日 12時) (レス) id: c787972aae (このIDを非表示/違反報告)
彩雲朱瑠璃(プロフ) - すごく面白くて好きです！あ、あともしかしたら１ページ目のはないちもんめのところ、「ちょっとおいで」じゃなくて「ちょっと来ておくれ」かもです。在住地違いなどもあるかもしれませんが… (2022年7月18日 21時) (レス) @page1 id: b1698b1cbf (このIDを非表示/違反報告)
ふぉっさ(プロフ) - 名無しくんさん» 返信遅くなり、申し訳ございません。初コメ有難うございます。更新は不定期ですが、これからも頑張りますので、乞うご期待を宜しくお願い致します。 (2022年5月22日 10時) (レス) id: c787972aae (このIDを非表示/違反報告)
サラ(プロフ) - とても素敵な作品ですね！私には書けない…すごいです！なんかこう…すごいです！(語彙力０)これからも頑張ってください！ (2022年4月14日 22時) (レス) @page9 id: 271b6082c9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：。 | 作者ホームページ：
作成日時：2022年4月1日 12時
