匂い ページ12
Aside
恐らく、屋敷の奥であろう部屋の前へと訪れた。なんとも言えぬ不気味な雰囲気が漂っており、此処に足を踏み入れると思うと、少し体が震えた。
戸を開け中へ躊躇なく入って行くコネシマさんの後を着いていく。此方の気など知る筈もなく、何処にやってもうたかなぁ、などと呑気に呟き、部屋にある棚という棚を探るコネシマさんを横目に辺りを見渡した。
色褪せた小箱が積み上げられ、ところどころ埃を被っている物もある。奇妙な発色の得体の知れない液体が入った小瓶や、説明しきれない程沢山の物がずらりと並べられている。
kn「おぉ、あったあった。」
先程まで棚にやっていた目線をコネシマさんが持っている"何か"へと移した。
そこには、得体の知れないウニョウニョとした可愛らしい生命体が！、などと本の中のように私の期待に応えてくれる筈もなく、中に水のように透き通っている液体が入った小瓶があった。
『何、ですか？これ』
指を指して聞いた。見た目だけで判別するなればただの水にしか見えない。水以外の何物でもない。けれど問題点は、置いてある場所が場所なのだ。疑いを持つのは致し方無いことだろう。
kn「これは、まぁ、人間界で言う香水やな。
色んな奴が居ってな。人間大好きって奴も居れば、人間嫌い食ってやるーって奴も居んねん。まぁ大半の奴人間食うけどな。
人間って見た目じゃあんま判別つかんもんで、臭いが判別する唯一の材料になんねん。
臭い消すんは無理やもんで、上書きするしか無いねんな。」
kn「まぁ、ごちゃごちゃ言うとってもキリないんやから早よ飲みなはれ
、ん」
ずいっと顔の前にその瓶を突き出された。お味の方も少し気になるものであるが、味なんかよりも命の方が何百、何千倍と大事なのだ。コルクを少し捻り、取り出すと軽快な音が鳴る。美味しいという保障が無い為、勢いよく喉に流し込む。
ふぅ、と一息吐き、空となった瓶のやり場に困っているとコネシマさんに手を差し出された。私の手の中で暇を持て余しているであろう瓶を手渡した。
コネシマさんは懐に瓶を入れ、クンクンと犬の様に鼻を動かし、匂いを嗅いだ。
kn「臭い消えたで、飯食い行こか。」
『は、い。』
kn「なぁ、そろそろ慣れてくれん？」
『え、何に、ですか？』
kn「お前、此処来てからずーっと怯えとるやん。
そう簡単に、お前は殺さんもんで、安心しぃや。」
コネシマさんに言われ、ハッとした。
___________________
お待たせしました。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1070人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あまね(プロフ) - すき (8月8日 4時) (
レス) @page28 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
ふぉっさ(プロフ) - 彩雲朱瑠璃さん» 返信、遅くなってしまい申し訳御座いません。感想だけで無く、アドバイスまで頂けるなんて感無量です。その、助言有難く頂戴致します。更新は不定期になってしまいますが、乞うご期待を。 (2022年7月25日 12時) (レス) id: c787972aae (このIDを非表示/違反報告)
彩雲朱瑠璃(プロフ) - すごく面白くて好きです！あ、あともしかしたら１ページ目のはないちもんめのところ、「ちょっとおいで」じゃなくて「ちょっと来ておくれ」かもです。在住地違いなどもあるかもしれませんが… (2022年7月18日 21時) (レス) @page1 id: b1698b1cbf (このIDを非表示/違反報告)
ふぉっさ(プロフ) - 名無しくんさん» 返信遅くなり、申し訳ございません。初コメ有難うございます。更新は不定期ですが、これからも頑張りますので、乞うご期待を宜しくお願い致します。 (2022年5月22日 10時) (レス) id: c787972aae (このIDを非表示/違反報告)
サラ(プロフ) - とても素敵な作品ですね！私には書けない…すごいです！なんかこう…すごいです！(語彙力０)これからも頑張ってください！ (2022年4月14日 22時) (レス) @page9 id: 271b6082c9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：。 | 作者ホームページ：
作成日時：2022年4月1日 12時
