166：ギャルと安置所 ページ16
＿＿＿＿。
｢Aは？｣
｢応接室で安静にしています。暫く1人にしてほしいと｣
七海の言葉に、そっかと悠仁は返す。
高専の死体安置所は酷く冷たく、9月だと言うのに肌寒かった。
Aが一人にしてほしいと言った気持ちが悠仁には分かる。
継ぎ接ぎの呪霊と対戦後、Aは初めて順平の姿を確認した。
変わり果てた姿に、Aは必死に記憶の中の順平と重ねようと試みたが、結局それは出来なかったのだろう。
｢五条さんが帰ってきたようなので、Aさんが勝手に出歩くという事は無いと思いますよ｣
七海は付け足した。
安心した、悠仁は返す。
｢…説教、する？｣
｢命を助けて貰った相手に説教をするも何もないでしょう。説教ならば、私は君よりもAさんにしたいですね｣
なんで？と、悠仁は尋ねた。
七海は短くため息をつく。
｢君が領域内に来る前、Aさんは私だけを助けようとし領域展開をすればいいと言い出しました。何故、私が説教をしたいか…もうお分かりかと｣
悠仁は、そういう事かと理解し力無く笑う。
｢そういう事なら俺も説教したいかも。でも、ナナミン…俺は助けてなんてねぇよ。どちらかと言えば、Aの呪霊だった。…宿儺は気まぐれで現れただけだ｣
自嘲気味な悠仁の言葉に、七海は｢いいえ｣と否定した。
｢Aさんの呪霊は、君が来なくとも恐らくは姿を現すつもりだった……そして、君が来なければAさん含め全員殺すつもりだったでしょう｣
もっと言えば、宿儺が来なければですけど。
七海は付け足す。
その言葉に、悠仁は言葉の真意を求めるよう目を向けた。
｢これはあくまでも見解です。私も、今回初めてAさんの呪霊と対面しましたし………あの呪霊は、宿儺の前だと大人しい。どちらかと言えば、牽制し合っている…私にはそう見えました｣
悠仁は、あの領域内のことを思い出そうとした。
宿儺ならまだしも、Aの呪霊を思い出そうとするとあの穴のような瞳しか浮かばない。
その度に、末恐ろしい気持ちになる。
Aはあんなのと、日々戦ってるのかよ。
｢理由はどうであれ、君が来なければ全滅でした。間違いなく助けられたんですよ｣
七海は言った。
何度言われても、いまいち悠仁は腑に落ちなかった。
今回の出来事で、自分は沢山のものを取りこぼした。
助けるって、俺はどうすれば良かったんだよ。
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鼻毛太郎(プロフ) - 華花。さん» コメント有難うございます！これでいいのか...？と悩む時期が続いていた中、温かいコメントを頂けて本当に泣くほど感謝してます；；現在5章目を製作中なので、しばしお待ちを…！今後もギャルと呪術を宜しくお願い致します！ (2021年4月21日 11時) (
レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
華花。(プロフ) - いつも緊張して送れませんでしたが初コメント失礼します！もう作者様は言葉選びから構成まで最高すぎます…素敵な作品を生み出してくれてありがとうございます！ (2021年4月20日 23時) (レス) id: 2bd2296ed7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鼻毛太郎
| 作成日時：2021年3月1日 0時
