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165:ギャルと魂の破壊 ページ15

何とか足に力をいれ、Aは彼の元に駆け寄る。
数分前よりも体の機能が戻ってきていた。
この時ばかりは、自身の並外れた回復力を褒めた。

Aの言葉に七海も気づき、すぐさま悠仁の方へと駆け寄る。

「悠仁…!悠仁ッ!!」

必死になって呼ぶ。
彼は起き上がってこない。
Aは治ったばかりの腕を動かし携帯を取り出すと、急いで補助監督を呼んだ。









笑いが込み上げてくる。
生まれてからそれはもう、恐らく一番愉快だったかもしれない。

真人はボロボロの身体で地面を這うと、壁に体を預け座り直した。

逃げる為の呪力を残して正解だった。
ここで祓われては元も子もない。

「ふ……」

真人は息つく。
口元には、冷めやらぬ笑みが残っていた。
彼が思い出していたのは、呪いの王両面宿儺と正体不明の呪霊。


圧倒的強者と王の風格。
全ての生物を自身以下だと信じて疑わない。
というか、彼の前ならば疑わずとも現実に変わる。

それなのに、夏油の言う通り宿儺はかなりAに入れ込んでいる。
アレに手を出すだけで、一瞬にして機嫌を損ねる。


「あの二人、増してきな臭いなぁ…」


にしても、現時点もっとも測り兼ねているのは例の呪霊だ。

宿主であるAには手を出されたくない癖に、呪霊自身はAの身体を蝕む。
独占欲とかその辺の可愛いものでは無い。

呪霊である真人にさえ分からない。
アレは何をどうしたら生まれるんだ。


アレは、いつか可借夜Aを喰う。
いや、夏油に言わせれば喰わせるだけど。


真人は抉られた肩を摩った。
それは、あの呪霊に鉤爪を掛けられた方であった。
そして、思い出すのはAの瞳。


死を感じた時の、あのバケモノのような光を帯びた瞳だ。


「本当は、可借夜Aにとって人間って枠は狭いんじゃないかな……」


考えると口角が自然とあがる。
外してやりたい。枠を外してやりたい。


あぁ、参ったなぁ…
虎杖悠仁は殺したいし、可借夜Aはさっさと喰わせたい。


喰わせるにはどうしたらいい?


「魂を殺さなきゃな」


魂を殺せば、あの呪霊を現実世界に引き摺り出せそうだ。

真人は、考え込むよう顎を撫でた。
どうすれば魂が死ぬだろう。

彼女を追い詰める何か。

そうか、起爆剤。
彼女にとっての起爆剤が必要か。



可借夜Aの魂を殺してしまうほどの地獄。
地獄をぶつけよう。


三途の川は、きっと寒くて辛くて寂しいよね。
楽しみ、楽しみ。

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鼻毛太郎(プロフ) - 華花。さん» コメント有難うございます!これでいいのか...?と悩む時期が続いていた中、温かいコメントを頂けて本当に泣くほど感謝してます;;現在5章目を製作中なので、しばしお待ちを…!今後もギャルと呪術を宜しくお願い致します! (2021年4月21日 11時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
華花。(プロフ) - いつも緊張して送れませんでしたが初コメント失礼します!もう作者様は言葉選びから構成まで最高すぎます…素敵な作品を生み出してくれてありがとうございます! (2021年4月20日 23時) (レス) id: 2bd2296ed7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2021年3月1日 0時

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