【呪術廻戦】ギャルと呪術-3-

110：ギャルとハグ ページ10

＿＿＿＿。


その後、五条とAは互いに別の用事からと地下室を出た。

思っているのはAだけなのだが、Aはこの状況に気まずさを感じていた。
昨日まで少し特別な後輩だという関係だったのに。

いやでも、所詮は演技なだけであって本質は変わっていない
変わっていないはず。そうだよ、そうだよね

Aは自分に言い聞かせる。

「じゃ、僕用事先向こうだから」

行くね、と五条はAが向かう反対の方向を指差す。
唐突に言われた言葉に、Aは少し遅れて反応した。
廊下に二人きりという状況がより気まずい。


というか、こいつはなんでこんなに平然としていられるんだ


所詮は後輩。
自分の方が先輩であり、ギャルはたかが状況が一変しただけで動転しない生き物なはず。
むしろ、全ての状況を楽しむのがギャルの流儀では？

いやでもこれは無理あるでしょ！！！

Aが内心頭を抱えていると、ふと五条が顔を覗き込んできた。

「なっ…なに、か？」

驚きのあまり、Aの挙動が若干可笑しい。
五条は「ん〜」とご機嫌に間延びした声を漏らす。

「いってらっしゃいのハグはしないのかな、と」

「！！？？」

な、なに言い出してんだこの後輩！！？
Aは思わず顔を赤くする。
いつもなら、「ウケるんだけど。してほしいの？」なんて言葉が出るというのに。
やはり、先ほどの悠仁の言葉が尾を引いている。

完全に意識してしまっている。

Aは精一杯の平静をなんとか保ちつつ、目の前の男に述べる。

「だ、誰も居ないとこで、恋人のふりをするのは、必要ない…のでは…？」

なんで私が悟相手に下手に出てんのよ！！
もう一人の自分がギャーギャーと抗議してくるが、うるさい今は黙っててくれという気分だ。
五条はといえば、「え〜」と残念そうな顔をするだけ。


悟の目的が何もわからない
この状況を楽しんでいるだけなのだろうか


Aは呆れた息を短く吐き出す。

「悟、アンタ…妙な事に巻き込まれて嫌じゃないの？これ、凄く面倒な事よ？」

自分から首突っ込んでったけど、と思いつつAは尋ねる。
すると、彼は平然とした態度で言い切った。


「うん。嫌じゃないよ」


Aは驚く。
”この面倒さが面白くない？”とか、そんな言葉を予想していたというのに。

「それに言ったでしょ？開き直ったって」

「え、」

それって…、言葉の先を尋ねるが前に五条はひらひらと手を振り行ってしまう。
Aは彼の背を眺める事しか出来なかった。

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