【呪術廻戦】ギャルと呪術-3-

111：ギャルとブラザー ページ11

＿＿＿。


同時刻、高専内にて伏黒はとある男と対峙していた。

京都校三年＿＿＿東堂葵。
人を見た目で判断しちゃいけないだのなんだの、涙を拭いながら訳のわからない事を話しこちらに歩いてくる。

殴られた体の体勢を立て直しながら、伏黒は”あの東堂葵”なのかと考える。
彼の名は記憶に新しかった。
Aが稽古をつけてくれた日に、彼の名は話題に上がった。

だがしかし、思い返してもみれば東堂という男は”Aに再起不能にされた”という前に前提としてとんでもない男なのだ。


去年の新宿と京都を同時に襲った未曾有のテロ＿＿百鬼夜行
その際、東堂は一級呪霊を五体・特級を一体一人で祓っている。


Aさんにボコられた奴なんて認識してたが、そもそも違う。
Aさんが化物すぎるだけだ。
そうだった、再起不能に出来たのはAさんだからだ。


東堂という男も、十二分に化物。


伏黒は構えをとった。
影を媒介に現れるのは、鵺と蝦蟇を配合させ生み出す拡張術式『不知井底』

東堂は伏黒を前に、悠長に首の骨を鳴らす。

「俺がここに来たのは、お前達を見に来たなんて理由じゃねーんだよ」

東堂が突然口を開き、伏黒は眉を潜めた。

「帰ってきてるんだろう？我が兄(ビッグブラザー)が」

「…誰だ、それ」

うちに東堂の姓を持つ人間はいないぞ、と伏黒は顔を顰めたとき。
東堂はにたと笑い、一歩後ろに片足を引く。
そして、声を大きくし言い切った。



「Aだよ、可借夜Aだッ！！！」




＿＿＿＿。

東京校高専の応接室にて、京都校学長『楽巌寺嘉伸』は夜蛾を待っていた。

｢老い先短い年寄りの時間は高くつくぞ｣

楽巌寺は中々来ない夜蛾相手に、やれやれとくたびれた様子で言った。
老い先短いという割には、至る所に派手に付けたピアスが目立っている。
まだまだ余裕で生きそうだけど…なんて思いながら、横に控えていた京都校二年の三輪霞は楽巌寺を垣間見る。

突然、応接室の扉が開けられた。

｢夜蛾学長は暫く来ないよ｣

悪気なんて毛頭ない、軽薄な物言いをする男。
楽巌寺と対面するソファーに、無礼極まりない態度で腰を下ろすと｢嘘のスケジュールを伝えてあるからね｣と付け足した。

三輪は彼の姿に驚く。

五条悟。
呪術界において、彼を知らない者など居ない。
あとは“あの人”も生で見れたらなぁと三輪は思う。


呪術界きっての名誉研究者。
可借夜A。
彼女の姿も、一生に一度でいいから拝んでおきたい。

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