ーー橙31 ページ32
ーーー体が、重い。
そんなことを思いながらうっすらと目を開けると、白い天井がみえた。見覚えのあるこの天井は、病院のものだ。
手元を見ると私の手首に点滴がうたれていた。
(なんか、動けない...)
動いてみようとしても、なかなか動けなかったので、仕方なく人が来るまで、天井をみながらボーッとする。
ガラガラそう音をたてて扉が開いた。入ってきた看護師さんは私が目を開けていることに気づくと、走って行ってしまった。
(いや、だからナースコール...)
またしても使われなかったナースコールが少し可哀想だと思った私だった。
ーー
小学校の時以来、私の担当医をしてくれている先生から、いくつか質問された結果、記憶のほうは大丈夫だし、体に関しても、リハビリしていけば特に問題はないとのことだった。
そしてこの話の中でしった、あれからもう1年も経っているということだった。これには流石にびっくりだ。
「おバカ!!」
そう言って抱きしめてくれたのは仕事中だったのに駆けつけてくれたお父さんとお母さん。
「ごめん、ありがとう」
もう、大丈夫だよ。そう言って微笑むと、
お母さんは、
「目覚めてくれて、本当によかった。」
そう言って私を抱きしめて泣き出してしまった。
私ごと、そんなお母さんを抱きしめたお父さんが急に真面目な顔をして切り出した。
「アメリカに、行かないか?」
(え?...アメリカ??)
詳しく 話を聞いてみると、どうやらアメリカでリハビリをすれば、私はまたバスケができるようになる
らしい。
でも、そんなに大事なことを、簡単には決められない。
「それは、いつまでに決めればいい?」
「行くとしたら早いほうがいいから...来週かな?だから、4日後までに答えを出して」
よく考えるんだよ。そう言ってくれた。
「そうそう、征十郎君たちは4日後から一週間合宿だそうだ。それが終わるまで来られないと言っていたよ。もし、行くとしたら会うのを待ってもいいよ」
そう情報をくれたお父さんに、
「行くとしたら会わないで行くよ。」
そう告げて、早速リハビリしに行こうと、車椅子を押してもらった。
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作者名:真紘 | 作成日時:2017年6月15日 19時