ーー橙24 ページ25
ーーごめ、んね?
バスケはもう出来ないけど、走るのにはまぁまぁ自信がある。
人混みだったこともあり、かなり出遅れてしまったけど、美咲ちゃんとの差は確実に縮まって来ている。
赤信号で止まっていた美咲ちゃんが少し焦ったのか後ろを振り返ったため、目があった。
(あと少しだ。)
そう思った私はスピードを上げる。
すると美咲ちゃんはもう少しで信号が青に変わると思ったのか、もう一つの信号が赤になると同時に道路へと飛びした。
「だめっ!」
渡ろうとした信号はまだ青に変わっておらず、車が曲がってくる。
......間に合え
車と接触する前に美咲ちゃんの手を引っ張り自分のいる場所と彼女のいる場所を入れ替える。
直後
体に強い衝撃が走った。
「...A?A!?」
自分を呼ぶ声にうっすらと目を開けると、後ろからあとを追ってきていたらしい征が見える。
そしてその手前には青ざめた顔をした美咲ちゃん。
そんな美咲ちゃんをみて、伝えようと声を出す。
「美咲ちゃ......ごめ...ん.........ね...?」
ああ、声が出ない。でももう1人伝えなきゃ。
「...せ...い...。やく...そ...く...かえ...さよ...ならし......だい...すき...だ...た」
もう、喋れそうにないな。
そう思った私は目を閉じて、最後に笑った。
そして意識がブラックアウトした。
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作者名:真紘 | 作成日時:2017年6月15日 19時