橙ゲノムパロ【赤司征十郎】 (ページ18)

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ーー橙17 ページ18

ーーそれでも

部屋へ戻ると携帯にメッセージが届いていた。

虹村壊れるのが怖いって言ってたけど、俺がAに告って変わったとこ、あったか?俺はないと思ったぞ。

修先輩からだった。

言われてみれば、あの時壊れてしまったと思ったものは全くの無傷で存在している。

だから、征に伝えても、壊れることはないと。

そう言いたかったんだろう。

でも、私はもう決めてしまった。後戻りなんてできないし、しない。

そういう趣旨の返信を返して机にむかう。

「さて、と」

征との思い出を閉じ込めるべく、手紙を書くことにした。いつか、落ち着いたら笑って征にみせられるように。

そのために私が覚えている征との思い出を。

思い出そう。

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親の英才教育のせいで周りの子よりも大人びていた私達は、当然周りにとけ込めず浮いていた。

親同士の仲がよかったこともあり、2人でいる時間が一番長かったと思う。

それでもどこか他人行儀だった私達の距離がグッと近づいたのは

征のお母さんが亡くなった時。

征が泣いていないのを見た私が号泣した。
ひとしきり泣いたあと、

「私のお母さんがね、人は泣いて、笑ってってしないと生きられないってゆってた！それでね？私が泣いたり笑ったり出来るのは征がいるからなの。だから征も悲しかったら泣こうよ。私が、そばに居る！！」

そう言って今度は笑顔を見せる。

一瞬ポカンとした後、今まで我慢していたせいか堰を切ったように泣きはじめた征と手を繋ぎ、つられてまた泣きだした私も一緒に、気の済むまで泣いていた。