470:ギャルと元調子 ページ20
どうして今それを。
なんでそんな言葉を。
色々訊ねたい事はあった。
でもそれはきっと、Aも自分も満身創痍であったし、先程心から自身の長年の想いをぶつけたばかりだったし、目の前で最愛の人間を封印された後であったし、この渋谷の現状もあったし、そういった幾つもの出来事が重なったが故に言いたくなったのかもしれない。
自分だって、ちゃんと生きているAと再会出来たことが本当に嬉しかった。
漸く、A本人の匂いや体温や存在を感じて、伏黒は「そうだ。この人はちゃんと生きてるんだ」と実感した。
伏黒は、両手をAの背に回す。
何時からだったかな。
この人の身長を越してしまったのは。
「…はい」
一言。
それ以上も以下もなく、返事をした。
暫くの間があって、Aがパッとわざとらしく手を離す。
もうそこには先程までのピリピリとし数多の修羅場を制してきた呪術師としての顔はなく、いつもの“ギャル”としてのAの顔に戻っていた。
「恵ちゃあ〜ん」
「気色悪い声出さないでください。くっつくな!」
戻ったらこれだ。
全く、五条先生と同じでこの人も静かなぐらいが丁度いいんだが。
そういうお化けのように、背中にぐでぇと引っ付いてくるAに鬱陶しいと声を掛けながら伏黒は引き摺るように歩き出す。
「この厄介な現状もですけど、宿儺の事も詳しく説明してくださいね」
「恵ぃ〜もう動けな〜い!おんぶして〜!!」
「話聞けよ!!」
とはいいつつ、Aがもう動けないのは本当だ。
「…おんぶなんてしたら、ぶん殴られるでしょ。五条先生に」
「いやいや大人気なさす………………大人気ないか、アイツ」
言いかけ訂正するA。
だけど、やっぱり彼女の体は満身創痍にも程がある上に、寧ろ現在こうやって会話が出来ている事が奇跡にも近い。
伏黒はため息をついて、Aの前で背を向けしゃがんだ。
「大人気ない人がアンタの恋人なので、ちゃんと後で言っといてくださいね」
歩けないレベルだったから、おんぶしてもらいましたって。
彼の言葉に、Aは鳩が豆鉄砲でも食らったよう何度か瞬きさせたあと、顔を綻ばせ「分かってるっての!」と返した。
素直に彼に甘え背に被さろうとした時、ふとAは声を上げる。
「そうだ。一応、桐壺の破損した欠片拾ってくか。役立つかもしれないし」
「壊れた呪具ですよ?」
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プルメリア - ありがとうございます!頑張りますね! (2023年1月9日 7時) (レス) @page5 id: 6b30db01b5 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - プルメリアさん» 出来てますよ…!多分、宿儺のやつですかね…?まだ中身を確認していないので、あれですが投稿自体は出来てますよ…! (2023年1月8日 20時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
プルメリア - えっと、あの、忙しかったらいいです!ただ、きちんと投稿できているかだけ...お願いします... (2023年1月8日 20時) (レス) id: 6b30db01b5 (このIDを非表示/違反報告)
プルメリア - 私、試しに投稿してみたんですが...きちんと投稿できているか心配でして。少し確認してくれませんか? (2023年1月8日 20時) (レス) id: 6b30db01b5 (このIDを非表示/違反報告)
プルメリア - 本当に嬉しいです! (2023年1月8日 14時) (レス) id: 6b30db01b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2022年11月27日 22時