471:ギャルと経過観察 ページ21
もう役目は終えています。
伏黒は立ち上がって、ひょこひょことよろけながら桐壺の欠片を拾いに行くAへと声をかける。
しかし、Aが拾うのを辞める事は無かった。
「まぁ、研究者の職業病みたいなもんよ。こういうちょっとした物に、いつかもしかしたらって感情抱いちゃうのはさ」
「そういうものですかね…?」
その言葉に、伏黒は短くため息混じりに述べ。
実際、そういう些細な点に目を向けた結果功績を叩き出しているような人だ。
天才的な洞察力と考察力。
そして、五条悟さえも凌駕する他の追随を許さない事象の解釈力と度胸により、Aは呪術界での立場を確立させていった。
自分がどうこう言える幕ではない。
それに。
伏黒は脇腹にゆっくりと触れる。
掌の下で、ひりつく痛みが生まれ体を駆ける。
あの謎の男に、游雲の先で貫かれた場所だ。
今でも歩く度に鈍痛が脇腹を中心に広がる。
でも、Aさんよりはマシだろう。
伏黒はAの姿を思い出す。
Aの衣服はズタボロであった。
土埃に塗れ、血を吸い赤黒く変色している箇所もあった。
それに、ところどころ破れた箇所もあって、あのAのことだ。
きっと渋谷に入る時はもっとしっかりした格好をしていたに違いない。
伏黒の記憶の中で、Aが着飾っていない日はなかった。
地下では、どれほどの激闘があったのだろうか。
「…」
Aさんは、五条先生が封印される時どんな気持だったんだろうか。
「……強いな、Aさんは」
伏黒が呟く。
そして、そういえばとAのズタボロの姿を思い出すと、せめてと伏黒は思って自身の上着のボタンに手をかけたその時。
ふと、妙な違和感に伏黒は襲われた。
Aさん、遅すぎないか…?
そう思ったと同時、ゾッとした感覚が体を駆けた。
Aさんと最後の会話をしてどれだけ経った?
桐壺が壊れ場所は、ここからそんなに離れていない。というか、すぐ近くだ。
そもそも、Aさんは俺の問いに何か返したか?
思えば、あの時伏黒は自身が出した問いに自己解決で納得をしていた。
あのお喋りでうざいほど俺に構ってくるAさんが何も返さないとは思えない。
「…ッ」
この感覚が杞憂ならそれでいいのだ。
それであってほしい。
伏黒は、弾かれるようにAが向かった方へと顔を向けたその時、戦慄した。
先ほどまで無かったのに、血溜まりの中でAがうつ伏せに倒れていたのだ。
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プルメリア - ありがとうございます!頑張りますね! (2023年1月9日 7時) (レス) @page5 id: 6b30db01b5 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - プルメリアさん» 出来てますよ…!多分、宿儺のやつですかね…?まだ中身を確認していないので、あれですが投稿自体は出来てますよ…! (2023年1月8日 20時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
プルメリア - えっと、あの、忙しかったらいいです!ただ、きちんと投稿できているかだけ...お願いします... (2023年1月8日 20時) (レス) id: 6b30db01b5 (このIDを非表示/違反報告)
プルメリア - 私、試しに投稿してみたんですが...きちんと投稿できているか心配でして。少し確認してくれませんか? (2023年1月8日 20時) (レス) id: 6b30db01b5 (このIDを非表示/違反報告)
プルメリア - 本当に嬉しいです! (2023年1月8日 14時) (レス) id: 6b30db01b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2022年11月27日 22時