468:ギャルと埋葬 ページ18
男の目は、明らかに対立するAと伏黒を映していた。
Aは何も返さない。
代わりに、何故かAは問われた途端に先程まで取っていた臨戦態勢を解いたのだ。
何してんだこの人。
横のAに驚きを隠せないながらも、それを上回る困惑に押され伏黒は男の言葉に答えた。
「……伏黒」
いや、何俺は普通に答えてんだよ。
思って言葉を止めた矢先、ふとこの辺り一面に蔓延していた殺伐とした空気が溶けていくのを伏黒は直感で感じた。
「禪院じゃねーのか」
男がぽつと零す。
刹那、男は手を持ち上げたかと思ったその瞬間、自身のこめかみに游雲の先をあてがった。
その突然の挙動に伏黒は動くこともままならず、ただそれを見ることしか出来なかった。
Aも動かない。
ただひたすらに、目の前の男をじっと見つめる。
まるでそれは、見届けるように。
男が、ふっと笑った。
伏黒は、その時間違いなく男がAを見て笑みを浮かべた事に気づいた。
「良かった」
男が言う。
ごりゅ、と音が鳴る。
頭蓋が抉れた音がした。
その言葉が、一体何を意味するのか。
男は、その後游雲の先でこめかみを突き刺したかと思うと、そのままどさりと地に伏しこと切れた。
あまりの唐突な流れに、沈黙が流れる。
伏黒はすぐに動くことが出来なかった。
どこから何を解けば。そう思っていると、Aが静かに作業的に動き出したのだ。
それは、男が倒れて大した時間も経っていなかったと思う。
「…」
倒れた男の傍らに片膝をつくと、男を動く片腕で何とか起き上がらせ自身の片膝に男の頭を載せてやる。
その時のAの表情は不思議だった。
なんと言い表せばいいのか。無でもなく、だからといって悲しむ訳でもなく。
彼女の手が、男の顔に沿わされる。
「顔…変わってますね」
伏黒はゆっくりと寄って、男の顔を覗いた。
男の顔は、先程の黒髪で口元に傷がある男ではなくなっていた。
「…憑依、または降霊術だろうな」
静かに言葉を返すと、Aは男の顔に添わせていた手で瞼を下ろした。
Aさんは、今何を考えているんだろう
彼女のことをなんでも知りたい訳じゃない。
勿論、自分だってなんでも知っているとは思っていない。
言いたくないことだって、秘密にしたいことだってきっとある。
だけど、アンタに“そんな顔”をさせられる人ってどんな人なんだ。
そう。
あの五条でさえ、それは無理だろう。
「…Aさん、今の人って____、」
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プルメリア - ありがとうございます!頑張りますね! (2023年1月9日 7時) (レス) @page5 id: 6b30db01b5 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - プルメリアさん» 出来てますよ…!多分、宿儺のやつですかね…?まだ中身を確認していないので、あれですが投稿自体は出来てますよ…! (2023年1月8日 20時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
プルメリア - えっと、あの、忙しかったらいいです!ただ、きちんと投稿できているかだけ...お願いします... (2023年1月8日 20時) (レス) id: 6b30db01b5 (このIDを非表示/違反報告)
プルメリア - 私、試しに投稿してみたんですが...きちんと投稿できているか心配でして。少し確認してくれませんか? (2023年1月8日 20時) (レス) id: 6b30db01b5 (このIDを非表示/違反報告)
プルメリア - 本当に嬉しいです! (2023年1月8日 14時) (レス) id: 6b30db01b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2022年11月27日 22時