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467:ギャルと生前の記憶 ページ17

「あれ...本当に人間ですか...?」

今ので避けられるって、どんな身体能力してんだよ。

「...一応は。中身は恐らく、式神か何かだろ」

「式神...?」

どこからそんな事が分かったんだ。
伏黒は、Aへと視線だけで尋ねるが彼女が答えてくれることはなかった。
勘。いや、この人なら有り得るが、“勘”の時は“勘”というはずだ。

知り合い...?
まさか。

だとしたら、こんなに容赦ないもんか。
伏黒は、興味が逸れたようにAから視線を外し、男へと目を向ける。
既に男は、再び何度目かの戦う姿勢を見せていた。

自分もAも満身創痍。

「どうしますか、Aさん」

半分やけくそに笑って伏黒は尋ねた。
Aは何も答えない。
ただ、何かを考えるようにじっと男を見つめていた。





その時。





Aの瞳が、あからさまに丸く見開かれたのだ。
それは、ただの驚きなんかで形容するには難しすぎるほどの感情がそこにあった。

張り詰めた空気が、泡沫のように淡く消えていく。















生前、京都に帰った時があった。
人の通りが多い、京都駅の入口。
外では何台もバスが行き来している。

ここは、京都の観光においての玄関口だ。
色んな人間がいて、色んな人間が時を過ごす。

伏黒甚爾は、そこで禪院直毘人と顔を合わせていた。


「俺のガキだが、術式の有無がハッキリしたらお前らにやらん事も無い」

勿論、金次第だが。

条件はこうだった。
相伝なら8、それ以外でも7はもらう。

だが、直毘人は甚爾の言葉にこう返したのだ。

「相伝なら10やろう」

と。


もうどうでもよかった。


別に、息子をあの家に売ったとしても、術式を持ってるなら自分よりよくやれる。
あんな家でも、別に。



数年後、Aに死を看取られた。
まさか、コイツに最期を看取られるとは思っていなかった。
意識が薄れる中、ぐしゃぐしゃの顔で泣くAに吹き出しかける。
吹き出す力もないのが虚しい。

最期がコイツか。
そう思う自分の心には、それでも安心感と満足感は間違いなくあったのだ。

アイツ()も、きっとそんな気分だったんだろうか。

自分を対等な立ち位置で、人間として見てくれるそういう奴に出会えて。


あぁ、クソ。
自尊心は捨てたってのに。


だから俺は託したんだ。
あの時一瞬でも手放したものを、Aに。










「お前、名前は...?」




男が、訊ねた。

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プルメリア - ありがとうございます!頑張りますね! (2023年1月9日 7時) (レス) @page5 id: 6b30db01b5 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - プルメリアさん» 出来てますよ…!多分、宿儺のやつですかね…?まだ中身を確認していないので、あれですが投稿自体は出来てますよ…! (2023年1月8日 20時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
プルメリア - えっと、あの、忙しかったらいいです!ただ、きちんと投稿できているかだけ...お願いします... (2023年1月8日 20時) (レス) id: 6b30db01b5 (このIDを非表示/違反報告)
プルメリア - 私、試しに投稿してみたんですが...きちんと投稿できているか心配でして。少し確認してくれませんか? (2023年1月8日 20時) (レス) id: 6b30db01b5 (このIDを非表示/違反報告)
プルメリア - 本当に嬉しいです! (2023年1月8日 14時) (レス) id: 6b30db01b5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2022年11月27日 22時

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