パン６２個 ページ12
『白川A、17歳です。
高校二年生で、趣味は...パンを作ったり、音楽を聞いたり、お話をしたりする事が好きです。』
よし、ちゃんと言えた。
初対面の人たちの前で話すのは少し恥ずかしいけど、みなさんすごく優しそうだから辺にどもらず自己紹介できた。
「うんうん、可愛いね〜」
「すごい模範的な女子高生でお姉さんニッコリだよ。
Aちゃんはそのままでいるんだよ？」
『は、はい！』
...いささか酔っ払ってるなとは思う。
「ありゃ〜伏さんとこの新人は？」
「残念ですが、昨日亡くなりました。」
『えっ...』
「あ、ごめんね。急にこんな話」
「南無阿弥陀仏！ほうれん......ほうげん...げきよ〜？」
「先輩もう酔ってるな」
『あわわ...』
姫野さんのおかげで少しだけ場の空気が緩くなるも、何事もなく「死んだ」と言われて正直まだ戸惑っている。
他の皆さんもそんな呆気なく...と、驚いたりしんみりとはしているが、どこか「しょうがない」と言うものが感じとれた。
「まぁバンバン死んでくよね。私の同期ももう公安にいないし。
あ、でもアキラくんはいるね」
「あー、俺たちは同期かどうか曖昧だしな。」
「ねっ」
テンポよくそう会話をしているが、常に死が隣り合わせと言うお兄ちゃんの現状を改めて感じた。
思わずご飯を食べる手が止まり、お兄ちゃんをじっと見つめる。
「？どうしたA」
『......お兄ちゃん、強いんだよね？すごく強いんだよね？』
人がいる前で普段ならこんな恥ずかしい...と言うか、お兄ちゃんが対応に困るようなことは言いたくないが、何故か急に不安になってしまった。
私の言葉で公安の人たちも見守るように静かになり、申し訳なくなる。
しかし私の言葉にお兄ちゃんは茶化すことなくハッキリと答えてくれた。
「当たり前だろ。お前が結婚するまで俺は意地でも生きるからな」
「フーー！カッコイイアキラくん！！」
「こりゃAちゃんの未来の旦那さん可哀想だ」
「俺んが強ェ！！」
「わしじゃ！！」
「お前ら黙れ」
場がさっきの様に一気に盛り上がる
お兄ちゃんは澄ました顔してビールを飲む。それに姫野さんがまたもや絡んでいた。
口約束に過ぎないが、お兄ちゃんはちゃんと守ってくれる。そんな確信がある。
プラスでアキさんが「心配するな」と優しく頭を撫でてくれたから安心感がもっと上がった。
あ、串カツ来た
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1799人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
柏餅 - まじで神すぎます！楽しみにしています!!! (11月25日 11時) (
レス) @page21 id: c21f6abdfc (このIDを非表示/違反報告)
小吉0927(プロフ) - とても面白いです！応援してます！ (5月14日 19時) (レス) id: 22a83ef8de (このIDを非表示/違反報告)
時茶豆 - お話すごく素敵で大好きです！作品楽しみにしてます！！！ (2023年1月11日 21時) (レス) @page10 id: 4cf5162543 (このIDを非表示/違反報告)
ゆな - なにこの小説めっちゃ好き (2023年1月11日 20時) (レス) @page9 id: 6539e90d25 (このIDを非表示/違反報告)
翠(プロフ) - はあ…好きです……毎日パン作るので結婚してください… (2023年1月5日 18時) (レス) @page8 id: 375689edf5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
