紅十五葉 ページ16
『...ありがとう、幻太郎。
落ち着いた』
しばらく、また元のように寄り添ってAが落ち着くのを待っていた幻太郎
もちろんそんなことで全てが楽になるわけでは無いが、Aにとっては十分な安らぎだった。
しかし、Aがお礼を言うもなかなか離れようとしない幻太郎
「...」
『幻太郎?...
、わっ』
すると突然、幻太郎は自分の方にAを強く引っ張り抱きしめた
大切なものを包み込むように...それでもって、お互いの顔が見えないように
『...幻太ろッ「小生は...」
!』
「小生はあなたの言う通り...
やはり弱虫です...
そしてAに【嘘つき】なんて言う資格なんかない...
小生こそッ...嘘つきです、大嘘つきだ...」
『幻太郎...』
Aは幻太郎の名前を呟く
幻太郎はAを優しく...それでもって決して離さないように抱きしめて言葉を零す
「何が”Aを助ける”だッ...何が”守る”だ...ッ
小生はッ何一つ守れていない...!それなのにっ、それなのにッ...
今の小生は何も出来ない無力な奴でッ...ッせっかくっ、ようやくAが小生との約束を叶えようと願ってくれたのに...!
小生はもうほとんど諦めているッそれでもって、自分の不甲斐なさに勝手に腹を立ててッッ...」
『幻太郎...
!...』
Aは黙って話を聞き続ける
「小生は弱虫だっ...小生は、まだ何も出来てないッ
だからッ!...
だからッ...
そんな小生にはッ涙を流す資格なんて無いはずなんだッ...
でもっ小生はッ、僕は......!!」
『...ううん、いいんだよ幻太郎。
...そんなことを決めつける人なんて、この世には誰ひとりとしていないんだよ』
Aがそう言うと、幻太郎は静かに...たくさんの涙を流した
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