彼女は限界だった ページ24
___何時間、走り続けたのだろう。
気付けば空はオレンジ色。
場所は人通りの多い広い道から、薄暗い路地裏に移動していた。
あれからリーダー格の男が応援を呼んだのか知らないが追っ手はどんどん増え続け
気付けば何十人という人間が自分を探し回っていた。
何度か捕まれそうになりながらも、彼女は何とか今の今まで逃げ切ってみせた。
だがそれも、もうここまで。
「(もう…走れ、ない…)」
何時間もぶっ通しで走り続けた結果、疲労は溜まり、限界が来た。
彼女は薄暗い路地裏の行き止まりで立ち止まり、その場に蹲った。
足はガクガクと震え、悲鳴をあげている。
体も重く、まるで鉛のように感じ、肩を上下に揺らして肺は必死に酸素を求めた。
遠くでは追っ手達の声が聞こえる。
このままでは彼女が見つかるのも時間の問題だ。
早く、逃げなければ。
頭では分かっていても、足は言う事を聞いてくれず
蹲ったまま立ち上がる気力さえ湧かなかった。
「(どう、して)」
彼女は問い掛ける。
どうして、こうなってしまったんだと。
ただ自分達は自由になりたかっただけなのに。
普通の人達のように暮らしてみたかっただけなのに。
何故こうも邪魔が入って上手く行かないんだろう。
どうして自分達の思い通りに事が進まないんだろう。
それとも自分達のような異端者は、そう願う事さえ許されないのだろうか…?
ただ平穏に暮らす事を夢見る事さえ許されないのだろうか…?
理不尽な思いは1つとなって彼女の瞳から溢れ落ちる。
ソレが涙だと理解するのに数秒かかるぐらいに彼女は疲弊していた。
「…つかれた」
遂に言葉も、溢れる。
遠くの声がさっきより大きく聞こえる。
きっともうすぐで見つかってしまう。
「つかれたわ…A」
涙と共に溢れる言葉。
彼女はもう限界だった。
だから何を思ったのか、彼女はおもむろにポケットにしまっていた物を取り出す。
ソレは持っていれば間違いなく厄介になる可能性があるにも関わらず、他でもないクロが拒んだ。
その理由をクロは『いざとなれば奴らを撹乱する事が出来るから』と考えていたが
本当は全くの見当違いだと本人も何となく自覚していた。
「もしも…まだ我儘を許してくれるなら…
Aをたすけて、バカ兄弟共」
何処かで聞こえる「見つけぞ!」の声。
彼女はそれを聞き届けてから、ソレについている猊貝瓩鮖廚い胆擇螳っ張った。
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柊(プロフ) - 朝から暇潰しにと軽い気持ちで読み進めてたんですが、書き方や設定の作り込みにすごく惹き込まれて一気に最終章まで読み進めてしまいました……特に主人公対兄松それぞれのやり取りにはすごく圧巻したというか、兎にも角にも笑いあり感動ありですごく面白かったです;; (2022年4月30日 0時) (レス) @page50 id: a82882ac10 (このIDを非表示/違反報告)
*IJu*(プロフ) - トマトの王様さん» コメントありがとうございます!終わってしまいました…!楽しんで頂けたようで良かったです^^ここまで読んで下さりありがとうございました〜!! (2019年8月1日 1時) (レス) id: 3241b35fe8 (このIDを非表示/違反報告)
トマトの王様 - うわあぁぁぁぁぁ!遂に終わってしまった…!( ;∀;)読んでてとても楽しかったです。お疲れ様でした! (2019年7月31日 14時) (レス) id: 5390b171c6 (このIDを非表示/違反報告)
*IJu*(プロフ) - arumo?さん» コメントありがとうございます!お疲れ様ですっ( ˇωˇ ) (2018年10月10日 0時) (レス) id: 3241b35fe8 (このIDを非表示/違反報告)
arumo?(プロフ) - お疲れ様です! (2018年9月29日 11時) (レス) id: ee4365cb85 (このIDを非表示/違反報告)
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