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彼女は逃亡中 ページ18

一方彼女はカラ松の元を離れた後、カラ松のお金を使って適当に服を買い、電車やバスに乗り継ぎ、更に遠く、遠くへ逃げようと奮闘していた。

途中で追っ手がやって来ないか念入りに確認しながら、彼女はとにかく遠くへ離れようとデタラメに突き進む。



「(これだけ離れればそう簡単には追って来れないでしょ……車だってあの1台しか無かったし)」



何度目かわからない電車に乗り込み、窓の外の景色を流し見ながら彼女はそう考えた。

実際彼女の言う通り、おそ松達の事務所には車は1台しかなく、その1台の車でカラ松と一緒に出掛けたのだ。
自分を追うにしても徒歩や公共の乗り物では不自由だし、何よりお金がかかる。

まずは車の回収としてあのテーマパークに向かうだろう。
そこに着くまでに結構時間は掛かるはずだ。



「(あとはとにかく遠く、アイツらから離れてしまえばこっちのもの。
幸いお金は充分あるし、安い所で3日くらいなら野宿しないで済むかしら)」



そこまで考えて、彼女はようやく安堵の溜息を1つ。

強ばっていた表情も心做しか柔らかくなり、彼女は胸に手を当てた。



大丈夫、上手く行ってる。

このまま逃げ切れれば私達の勝ち。


そうすれば自由だ。
ようやく待ち望んでいた、自由が手に入るのだ。



そう考えたら彼女は途端に擽ったい気持ちになって、思わず踵を僅かに浮かせた。

ずっとずっと、憧れていた。
Aと共に夢に見ていた自由。


もう誰も自分達を縛らない。
誰も閉じ込めない。
誰も命令したりしない。

何をしても、何処に行こうとも、何を決めようとも。
その全てが自由であり、全てを自分で決められる。


そんな自由が手に入ったら、まずは何をしようかなんて
柄にもなく考えて思わず口元に笑みを刻んでいたが
不意に脳裏にカラ松の顔が過ぎり、彼女はすぐその顔から表情を無くした。

彼女はわかりたくなかった→←ルビーは戻って来る



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(プロフ) - 朝から暇潰しにと軽い気持ちで読み進めてたんですが、書き方や設定の作り込みにすごく惹き込まれて一気に最終章まで読み進めてしまいました……特に主人公対兄松それぞれのやり取りにはすごく圧巻したというか、兎にも角にも笑いあり感動ありですごく面白かったです;; (2022年4月30日 0時) (レス) @page50 id: a82882ac10 (このIDを非表示/違反報告)
*IJu*(プロフ) - トマトの王様さん» コメントありがとうございます!終わってしまいました…!楽しんで頂けたようで良かったです^^ここまで読んで下さりありがとうございました〜!! (2019年8月1日 1時) (レス) id: 3241b35fe8 (このIDを非表示/違反報告)
トマトの王様 - うわあぁぁぁぁぁ!遂に終わってしまった…!( ;∀;)読んでてとても楽しかったです。お疲れ様でした! (2019年7月31日 14時) (レス) id: 5390b171c6 (このIDを非表示/違反報告)
*IJu*(プロフ) - arumo?さん» コメントありがとうございます!お疲れ様ですっ( ˇωˇ ) (2018年10月10日 0時) (レス) id: 3241b35fe8 (このIDを非表示/違反報告)
arumo?(プロフ) - お疲れ様です! (2018年9月29日 11時) (レス) id: ee4365cb85 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:*IJu* | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年9月9日 1時

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