トパーズは怒り心頭 ページ10
その速さはチーターの如く、おそ松も一瞬何事かと思ったが
十四松の事なのであまり深くは考えず、彼は「おーい!」と呑気に手を振った。
「十四松〜!緊急事態発生〜!
悪いけど事務所まで乗せてってくん……」
まるでタクシーの運転手にでも頼むように、おそ松はヤケに緊張感のない間延びした声で呼び掛けた。
対して十四松は聞こえているのかいないのか、スピードを緩めず、真っ直ぐこちらへと駆け寄って来る。
「__スーパー激おこパンチ!!」
「……!?」
そうして勢いそのままに突っ込んで来た十四松は
次の瞬間、おそ松に向けて拳を放った。
間一髪、おそ松は反射的に横へ飛ぶと十四松の拳が頬を掠め、後ろの塀のぶち当たる。
ピキピキとひび割れる塀。
ぐりんと視線をおそ松に向ける十四松。
その額には彼らしくない青筋が浮き出ていて
その口元は三日月に笑ってはいるものの、彼が怒っているのは明らかだった。
「危なっ?!えっ、急に何っ!?超怖っ!!どったの?!」
普段は温厚な十四松の怒る姿におそ松は大袈裟に驚き、彼と距離を取る。
彼がここまで怒る姿なんて本当に珍しいし、ここまで怒られる心当たりは今日は無いので、おそ松は一体どうしたのかと十四松に尋ねた。
すると十四松はゆらりとおそ松と対峙し、顔を伏せ視線だけおそ松を捉えると
まるで地の底から響く様な低い声で答えた。
「おそ松兄さん、Aちゃん泣かせたでしょ」
「へっ?!」
「Aちゃん泣いてたんだよ、帰って来た時。
ねぇ、Aちゃん泣かせたんでしょ?」
「あ、ああ……なるほど」
どうやら十四松は自分がAを泣かせた事に腹を立てているらしかった。
確かに彼の言う通り、おそ松はAを泣かせてしまった。
しかしその原因はほぼほぼ彼女のもう1つの人格であるクロのせいであり、あの状況ではクロに言わされた、と言っても過言ではない。
だがそれを説明するには少々十四松には複雑過ぎるし
何より弟達にはクロの存在は信じないと思ったから話していない。
さて、どうするかとおそ松は考えあぐねたその時
再び十四松の拳がおそ松を狙った。
「ちゃんと爐瓦瓩鵑覆気き瓩呂靴燭痢」
「ち、ちょっと待てよ十四松っ…!!」
これもまた姿勢を低くして避け、おそ松は弁解を求めるが
獣の如く鋭利な十四松の瞳は、ソレを許してはくれなさそうだった。
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柊(プロフ) - 朝から暇潰しにと軽い気持ちで読み進めてたんですが、書き方や設定の作り込みにすごく惹き込まれて一気に最終章まで読み進めてしまいました……特に主人公対兄松それぞれのやり取りにはすごく圧巻したというか、兎にも角にも笑いあり感動ありですごく面白かったです;; (2022年4月30日 0時) (レス) @page50 id: a82882ac10 (このIDを非表示/違反報告)
*IJu*(プロフ) - トマトの王様さん» コメントありがとうございます!終わってしまいました…!楽しんで頂けたようで良かったです^^ここまで読んで下さりありがとうございました〜!! (2019年8月1日 1時) (レス) id: 3241b35fe8 (このIDを非表示/違反報告)
トマトの王様 - うわあぁぁぁぁぁ!遂に終わってしまった…!( ;∀;)読んでてとても楽しかったです。お疲れ様でした! (2019年7月31日 14時) (レス) id: 5390b171c6 (このIDを非表示/違反報告)
*IJu*(プロフ) - arumo?さん» コメントありがとうございます!お疲れ様ですっ( ˇωˇ ) (2018年10月10日 0時) (レス) id: 3241b35fe8 (このIDを非表示/違反報告)
arumo?(プロフ) - お疲れ様です! (2018年9月29日 11時) (レス) id: ee4365cb85 (このIDを非表示/違反報告)
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