トパーズもまた ページ13
十四松は何故か悲しそうだった。
泣きそうな顔をしていた。
その顔を見たおそ松は『ああ、コイツもか』と目を細める。
十四松もまた、彼女の狷猫瓩砲笋蕕譴討い燭里澄
だが彼の場合、決してそれを表に出そうとはしなかった。
だって彼は知っていた。
Aはおそ松を特別視している事に。
だって彼は知っていた。
彼女は自分なんか見ていない事に。
優しい彼は彼女の気持ちを尊重し、彼女には手を出さず
彼女が退屈しないように、毎日彼女を笑わせた。
時には自分の気持ちを押し殺しながら、彼女がおそ松の話をするのを聞いていた。
時にはそのままメチャクチャにしたい衝動を抑え込みながら、彼女のフレンドリー過ぎるスキンシップに応えていた。
十四松は頭を空っぽにバカをやっているように見せかけて、今の今まで
Aの為にと尽力し、Aの為に様々な誘惑に耐え忍んでいたのだ。
「…ズルいよ、おそ松兄さん」
そんな十四松から、続けて言葉が漏れる。
おそ松はジンジンと痛む頬を押さえながらゆっくり立ち上がると、十四松の元へと歩み寄った。
「いつもそうだもん……おそ松兄さんは、ボクの欲しいモノを持ってるのに、おそ松兄さん気付かないんだもん」
「……」
「ボクだって、Aちゃんに大好きだって思われたい。
おそ松兄さんみたいに、Aちゃんに思われたい。
それなのにAちゃんはおそ松兄さんが好きだし……おそ松兄さんはAちゃんに酷い事言うし……ズルいよぉ………」
消え入りそうな声でそう絞り出すと、十四松は俯いて項垂れた。
何かを堪えるかのように、拳を強く握り締めて鼻を啜る彼。
そんな彼の頭の上に手を置き、おそ松は優しく動かすと苦い顔をして口元を緩めた。
「…………十四松は、Aちゃんの事が本当に大好きなんだね」
「………うん」
「実はね、俺もだよ」
「………えっ……?」
おそ松からの意外な言葉に、十四松は思わず顔を上げた。
十四松にはてっきり、おそ松は彼女を避けているように見えたからだ。
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柊(プロフ) - 朝から暇潰しにと軽い気持ちで読み進めてたんですが、書き方や設定の作り込みにすごく惹き込まれて一気に最終章まで読み進めてしまいました……特に主人公対兄松それぞれのやり取りにはすごく圧巻したというか、兎にも角にも笑いあり感動ありですごく面白かったです;; (2022年4月30日 0時) (レス) @page50 id: a82882ac10 (このIDを非表示/違反報告)
*IJu*(プロフ) - トマトの王様さん» コメントありがとうございます!終わってしまいました…!楽しんで頂けたようで良かったです^^ここまで読んで下さりありがとうございました〜!! (2019年8月1日 1時) (レス) id: 3241b35fe8 (このIDを非表示/違反報告)
トマトの王様 - うわあぁぁぁぁぁ!遂に終わってしまった…!( ;∀;)読んでてとても楽しかったです。お疲れ様でした! (2019年7月31日 14時) (レス) id: 5390b171c6 (このIDを非表示/違反報告)
*IJu*(プロフ) - arumo?さん» コメントありがとうございます!お疲れ様ですっ( ˇωˇ ) (2018年10月10日 0時) (レス) id: 3241b35fe8 (このIDを非表示/違反報告)
arumo?(プロフ) - お疲れ様です! (2018年9月29日 11時) (レス) id: ee4365cb85 (このIDを非表示/違反報告)
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