サファイアは選択する ページ42
「…遠くって、何処まで行くつもりだ？」
「何処でもいい。とにかくすっごく遠い所。
……おそ松兄さんの、いない所」
「遊園地とか、海…とかか？
おそ松抜きで遊びに行きたい…と？」
「ううん、そうじゃないの。単純におそ松兄さんのいない、何処か遠くに行きたいの。
…そして、そのまま帰りたくない」
「……つまり、駆け落ちって…事か？」
「うん、そうだよ」
「あっ、駆け落ちって言葉は知ってるんだな…」
やけに淡々とした態度だったが、話の内容もあり、それはそれでカラ松は内心ﾄﾞｷﾄﾞｷした。
�犇遒瑛遒銑�
即ち結婚を約束した男女が誰も知らぬ間に何処かへと逃げる事。
別にただ行方を眩ませる、という意味合いだけでも使うかもしれないが、少なくともカラ松の中では前者の意味で取った。
彼女とは結婚の約束をしたつもりはない。
いや、時々それっぽくアピールはしているが、普段の彼女は見向きもしなかったから。
もしかしたら遠回しに彼女が返事をしてくれているんだろうか、なんて考えて浮かれてしまっていた。
「でっ……でもキティ、駆け落ちってそんな簡単に言うけどなぁ……」
「
「いや、そうじゃなくって……いやでも、その……」
「………カラ松は私と駆け落ちするの、イヤ？」
「いやいやいや！そうじゃなくってだな！」
思っても見ないチャンスが訪れたが、カラ松は迷っていた。
残される兄弟達について。
きっと彼等の事だから、そんな事したら探しに来てしまうだろう。
そうなってしまったら1発で居場所がわかってしまう。
更にはカラ松もおそ松のように目の敵にされて、最悪この世から抹殺されてしまうかもしれない。
それ以前にカラ松は彼女を愛するのと同じように、兄弟達も愛していた。
今まで苦楽を共にしてきた運命共同体。
血の繋がりを持つ兄弟達に別れを告げるのを拒んでしまっていた。
イタイだのウザイだの冷たくあしらわれても、やはり彼等は家族なのだから。
カラ松にとっては彼等も大切な人達なのだ。
「………カラ松しかいないの」
「えっ…？」
カラ松の曖昧な反応に、彼女は視線を落として呟く。
その言葉にカラ松は一瞬耳を疑った。
「カラ松しか……こういう事、言える人いないの」
続けて彼女から出た言葉を耳にして、カラ松は完全に彼女の手に堕ちた。
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＊IJu＊(プロフ) - 腐女子さん» コメントありがとうございます！そう言って頂けてうれしいです…！更新頑張ります〜(*´∀｀) (2018年4月11日 1時) (
レス) id: 3241b35fe8 (このIDを非表示/違反報告)
腐女子 - 面白かったです！更新お待ちしてます！ (2018年4月8日 0時) (レス) id: 9891d1bd62 (このIDを非表示/違反報告)
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