ルビーは誤解を解きたい ページ28
「…あン？」
弱々しい、今にも消えそうな震えた声だった。
少しその声に驚いたが、どうせクロが自分を惑わせようとしているのだと思い、おそ松は強めに返してしまった。
それが間違いだったのか、はたまたもう手遅れだったのか。
ゆっくりと顔を上げた彼女の表情に、おそ松は驚愕の顔を浮かべた。
「私の、事……おそ松兄さんは……嫌い、なの…？」
涙を目いっぱいに溜めた彼女。
叱られた子供のように窄められた首に、服の一部を握り締めるこの仕草。
何より何処か子供じみた雰囲気を醸し出し、自分の事を�爐�そ松兄さん�瓩噺討嵌狃�は
紛れもなくおそ松の知っているAであり、今さっきまで話していた彼女とはまるで別人だ。
……いや、実際別人だった。
「 A……！？」
「ご、ごめん、なさっ……私、そんな事…全然、知らなくって………」
驚くおそ松をよそにAは溜めていた涙をﾎﾟﾛﾘと流すと、しゃくり泣きながら謝った。
当然おそ松は弁解しようとするが、上手く言葉が出て来なかった。
弁解した所で彼女が信じてくれるのか、理解してくれるのか、不安だったのだ。
「ご、ごめんなさい……ごめんなさい……
気付けなくってごめんなさい……」
そうやって呆然とAが涙している所を眺めている間にも、2人の溝は深まるばかり。
Aはﾎﾞﾛﾎﾞﾛと涙を流しながらおそ松に謝ると、不意に踵を返して来た道を1人で引き返し始めた。
「まっ……待ってよ、Aちゃん！！」
慌てておそ松は弾かれるように彼女を追い掛け、その華奢な腕を掴まえた。
驚いて思わず振り返るA。おそ松と目が合った。
おそ松は何とか彼女との誤解を解こうと考えて、咄嗟に『嫌いじゃないよ』と告げそうになって、その言葉を飲み込んだ。
口に出すよりも先におそ松がその言葉の意味を理解して、こんな時に照れを感じてしまったのだ。
それでも言おうか迷って、何も言えずに立ち尽くしているうちに、Aは更に悲しそうに顔を歪めておそ松の腕を振り払ってしまう。
そのまま去って行くAにおそ松は再び手を呼ばすが
他に彼女の誤解を解く話題も無く、そうした所で先程のやり取りを繰り返すだけだと思うと、おそ松は躊躇してしまった。
少しずつ小さくなる背中。
離れていくAの姿。
伸ばしていた腕を下ろしながらおそ松は頭を抱えると、大きな溜息を吐いて眉を顰めた。
「クロのヤロー……覚えてろよ…」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 43人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
＊IJu＊(プロフ) - 腐女子さん» コメントありがとうございます！そう言って頂けてうれしいです…！更新頑張ります〜(*´∀｀) (2018年4月11日 1時) (
レス) id: 3241b35fe8 (このIDを非表示/違反報告)
腐女子 - 面白かったです！更新お待ちしてます！ (2018年4月8日 0時) (レス) id: 9891d1bd62 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
