サファイアは説得する ページ47
並んでいる途中、彼女は小腹が空いたからか、カラ松とマップを眺めながら「ポップコーンが食べたい」と言い出したが、カラ松は全力でそれを断った。
今は胃の中は空っぽにしておきたかったのだ。
そうして約1時間程、彼等は並び続け
遂にその時は来てしまった。
「わぁあ!!凄い凄い!こんな所にも猫さんがいる!」
順番が回り、カラ松達も乗り込む番がやって来た。
しかも寄りにもよって1番先頭だ。
彼女は先頭にちょこんと乗っている猫を指差し笑っていたが
対してカラ松はまだ乗ってもいないのに顔色が悪く、オマケに微かに震えていた。
それでも彼女の前でカッコ悪い所は見せたくなくて、カラ松は虚勢を張り何とか適当に相槌を打った。
ようやく乗り込むとカラ松はまずベルトについて説明しながら、彼女に着用してやる。
そうしたら途中で「自分でやる!」と言い出して、カラ松からベルトの金具を貰うと、カチャカチャと音を立てながら何とか装着して、満足そうに微笑んだ。
そんな彼女を見てカラ松も思わず笑みを浮かべるが
ふと、彼女の膝の上にいるクロを見て困ったように笑った。
「キティ、その…クロはそこにいたらマズいと思うぞ」
「えっ…?」
言われて彼女もクロを見遣ると、「じゃあどうするの?」と首を傾げた。
なのでカラ松は目の前にある網ネットの荷物入れを広げて「この中に入れるんだ」と教えてやると、途端に彼女は驚いた顔をしてから、大事そうにクロを抱き締めた。
「そ、そんな所にクロを入れるなんて…!
クロは私が持ってるからいいもん!」
「そうもいかないんだ、キティ。この乗り物はとてもCrazyでHot、それでいてHurdな乗り物なんだ。
万が一クロが落ちてしまったら、キティも困るだろう?」
「そ、それはそうだけど…」
「大丈夫、この中はクロ専用の席だと思えばいい。
この中ならどんなに激しく動いても落ちないぞ」
「………わかった」
カラ松の説得により彼女はクロを素直に網ネットの中にしまうと、タイミング良く係員の人が安全バーを下ろす様にとアナウンスを流した。
『安全バー』が分からない彼女はカラ松の方を見遣ると、カラ松は実際に自分の頭上にあった黒いバーを下ろして彼女にやり方を見せてやる。
そうしたら彼女もカラ松と同じように安全バーを下げ、そわそわとし出した。
そんな彼女を横目に見ながら、心臓が止まりそうな思いをしているのをカラ松はただひたすらに隠した。
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