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眺めていた本を投げ捨て、彼の口を塞ごうと振り返ったが一歩遅かった。

ゴウセルは首を捻りながらポツリ呟くと、立て続けに更に言葉を重ねた。



「来て欲しかった。悲しかった。いっぱいゴウセルと一緒に過ごしたかった。
服を褒めてほしかった。手を繋ぎたかった。なでなでされたかった。キスし」

「うわあああああああっ!!!うわああああああああああっ!!!」



彼の言葉に耐えかね、私は大声をあげると耳を塞いで彼に再び背中を向けた。

顔に熱が一気に集中していくのを感じ、鼓動がドクドクと脈を打つ。



「……全てAが思っていた事だ」

「っ…っ……!!」



そんな私にトドメを刺すかのように彼は淡々とした口調で告げ
私はもう、恥ずかしさでその場から消えてしまいたくなった。



……そうだよ、私は寂しかったの!

だってゴウセルが来るまでずーーーーっと!
ゴウセルと何しようかなって、何処に行こうかなって、そればっっっかり考えて舞い上がってたんだからっ!!


しかも今日はディアンヌと選んだ勝負服まで着て!!

髪の毛だって、いつもは一つに纏めるのにエリザベスを参考に下ろして!!



なのにゴウセル来なかったから。
時間になっても来なかったから。


何かあったのかって、心配になって。

嫌われたんじゃないかって、不安になって。


………そう考えたら…こ、怖くて…

嫌われたって考えたら…私……



「…A」



ふと私を呼ぶ愛しい声がした。

お腹にはまた腕が回され、それは優しく後ろに引き寄せられる。


でもまだ恥ずかしくって頑なに振り向かないでいると、ポンと頭に彼の手が乗せられた。



「……今日の服、可愛い、な」

「っ…!」

「すまない、今日は本当に。
Aは楽しみにしていてくれたんだな」



耳元で囁かれ、気付いたら片手は握られていて。

別の意味で恥ずかしくなって、私は思わず俯いた。



「こっ…こんな事で許してもらえるとでも…」

「Aの機嫌取りが目的ではない。

ただ、俺がこうしたいだけなんだ」



するとゴウセルは背中を向けていた私を軽々と持ち上げてくるりと向きを変えさせ
私はゴウセルと見つめ合う形になってしまった。

また恥ずかしくなって私は彼から目をそらすと、ゴウセルはそっと私を抱き寄せてまた私の頭を撫でてくれた。


そんなゴウセルにキュンとした自分が憎らしく思え、私は彼の胸板に頭を押し付けると
一言「バカ」とだけ言っておいた。

胸が苦しい【グラ】→←許してあげない【ゴウセル】*蓮様リクエスト



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ルナストーン(プロフ) - *IJu*さん» なるほど…分かりました!ありがとうございます! (2020年10月14日 23時) (レス) id: f44ffe4945 (このIDを非表示/違反報告)
*IJu*(プロフ) - ルナストーンさん» バンは『七つの大罪』って作品に出て来るキャラですよ〜! (2020年10月14日 23時) (レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
ルナストーン(プロフ) - *IJu*さん» すみません…あの…バンって…なんの作品のキャラクターなのですか? (2020年10月14日 23時) (レス) id: f44ffe4945 (このIDを非表示/違反報告)
*IJu*(プロフ) - 蓮さん» 了解しましたー!お話が思いつき次第更新いたしますので、少々お待ち下さい! (2016年8月2日 22時) (レス) id: b02a163c50 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ゴウセルのデレデレお願いします! (2016年8月2日 21時) (レス) id: fde5658c77 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:*IJu* | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2016年2月2日 23時

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