検索窓
今日:3 hit、昨日:5 hit、合計:31,719 hit

人嫌い神様と嫌われ修道女【アフロディ】 ページ24

昔、昔。皆が知らない昔の話。



とある街の、とある教会には神が住んでいました。


とても美しい神が住んでいました。



神はその街を魔の者から守護する役目を担い
人間達は日々神に祈りを捧げておりました。



そんなある日、神の前に1人の修道女(シスター)がやって来ました。

その子はこの教会に住んでいる人間です。
神の記憶が正しければ、彼女は教会の人間達にあまり好かれてはいませんでした。



神は言いました。



「どうしたんだい?神の御前だと言うのにそんなに浮かない顔をして」

「…」



すると修道女は真新しい頬の腫れを手で押さえながら、答えます。



「…今日、私はこの街を出ます」

「生まれ育ったこの故郷から?」

「………はい」



修道女は何処か懐かしく思うように目を細め、小さく頷いた。

神はそんな彼女を台座の上から見下ろす。




「つまり、この教会からも出て行く、という事だね?」

「はい」

「…そう」



彼女はもう1度頷くと、神は目を細めて口元を綻ばせ、柔らかく微笑んだ。



「それが何だい?」

「………」

「僕に何の関係があると思うの?
わざわざ神にそんな事を伝えに来るだなんて、キミは律儀な人間だね」



そして口早に神はそう言うと、修道女は下を向いて微かな微笑みを浮かべた。



「……その言葉を聞いて、安心致しました。
もう思い残す事はありません」

「そう」

「ですが、最後に一つだけ」



修道女は顔を上げると清々しい微笑みを浮かべ、神を真っ直ぐに見据える。

そんな彼女の微笑みに、神もニコリと微笑んだ。



「最後のお祈りをさせて下さい」

「ああ、構わないよ」



神の了承を得ると修道女は神が腰掛ける台座の前で膝を折り、手を組んで祈った。


その姿は何の穢れも知らない天使の様で

その様は、神にはそれはそれは美しく見えた。



「…」

*→←黒き翼のレクイエム【神童】



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (38 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
28人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ルナストーン(プロフ) - *IJu*さん» なるほど…分かりました!ありがとうございます! (2020年10月14日 23時) (レス) id: f44ffe4945 (このIDを非表示/違反報告)
*IJu*(プロフ) - ルナストーンさん» バンは『七つの大罪』って作品に出て来るキャラですよ〜! (2020年10月14日 23時) (レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
ルナストーン(プロフ) - *IJu*さん» すみません…あの…バンって…なんの作品のキャラクターなのですか? (2020年10月14日 23時) (レス) id: f44ffe4945 (このIDを非表示/違反報告)
*IJu*(プロフ) - 蓮さん» 了解しましたー!お話が思いつき次第更新いたしますので、少々お待ち下さい! (2016年8月2日 22時) (レス) id: b02a163c50 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ゴウセルのデレデレお願いします! (2016年8月2日 21時) (レス) id: fde5658c77 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:*IJu* | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2016年2月2日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。