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2人の宴【メリオダス】*マリオ様リクエスト ページ18

「どうしたんだよ、そんな顔して」




真夜中、《豚の帽子》亭内のカウンター席に座った溜息を吐いていると、ふと上から団長が下りてきた。


慌てて私は「何でもない」と言ってみるけれど、彼は訝しげな顔をしたまま私の元に歩み寄る。



「何でもなくねーだろ?
何かあんなら相談乗るぞ?」

「別に…悩みとか無いし」

「ウソつけ、憂鬱そうな顔しやがって」



団員には何でもお見通しみたいだ。

私は諦めの溜息を吐くと、観念して彼に私の悩みを打ち明ける事にした。



「…実は、ね…アーサーの事なんだけれど…」

「アーサー?」

「うん…最近、アーサーが離れてくみたいで」



最近、私はアーサーと一緒にいない気がする。

彼の視界に入っていない気がする。



原因はきっとマーリンだ。

彼女は彼の師であり、友であるからいつも彼に付きっきりだ。
世にいう側近ってやつだろう。


いや、でも別に良いんだ、マーリンといる分には。
彼女は凄腕の魔術士だし、アーサーに武術と魔力について教えてくれている。

他にも王族としての作法とか、勉学とか、とにかく色々。
そのおかげで彼は着実に力をつけてきているし、立派な王になりつつある。


それは私にとって嬉しい事だ。
昔からの友人である私にとってはとても。



でも…同時に遠くに行ってしまうようで嫌なんだ。

アーサーだけ、何処か行ってしまうようで。


私は取り残されてしまうようで。



「なるほどなー…」



話し終えると団長はこくこく頷き、少しするとカウンターの奥に引っ込んで言った。

と思ったらお酒を持ってすぐに出て来て、彼は私の正面に立つとコップにエールを注いだ。



「ま、とりあえず飲め!」

「え…?」

「お前の事だから、どうせまだ溜め込んでるモノあるんだろ?」



…本当に団長には何でもお見通しみたい。

まるでゴウセルみたいね。


私は団長の手からエールを受け取ると、溢れる泡をじっと見つめる。

すると不意に「A」と呼ばれたので顔を上げると、彼もエールの入ったコップをもって微笑んでいた。



「今夜は宴だ!カンパーイ!!」


そして彼はコップをカツンとぶつけて、そのままグイッとエールを流し込む。

私はその無邪気な様に苦笑した。



「…宴って言っても2人だけだけれどね」



その日の2人だけの宴は、決して賑やかではなかったけれど


彼と一緒に飲んだエールはとても美味しかった。

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ルナストーン(プロフ) - *IJu*さん» なるほど…分かりました!ありがとうございます! (2020年10月14日 23時) (レス) id: f44ffe4945 (このIDを非表示/違反報告)
*IJu*(プロフ) - ルナストーンさん» バンは『七つの大罪』って作品に出て来るキャラですよ〜! (2020年10月14日 23時) (レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
ルナストーン(プロフ) - *IJu*さん» すみません…あの…バンって…なんの作品のキャラクターなのですか? (2020年10月14日 23時) (レス) id: f44ffe4945 (このIDを非表示/違反報告)
*IJu*(プロフ) - 蓮さん» 了解しましたー!お話が思いつき次第更新いたしますので、少々お待ち下さい! (2016年8月2日 22時) (レス) id: b02a163c50 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ゴウセルのデレデレお願いします! (2016年8月2日 21時) (レス) id: fde5658c77 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:*IJu* | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2016年2月2日 23時

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