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ズルいや【おそ松】 ページ11

「あっ!!チョロ松〜!おそ松〜!!」



パチンコに行った帰り道の途中で弟のチョロ松と会い、一緒に並んで家に向かっていると

不意に後ろから俺達を呼ぶ声がした。



「あ、Aちゃん」

「やっほー!」



振り返ると幼馴染みのAが俺達に駆け寄って来て、ニコッと懐っこい笑みを浮かべた。



「まぁな〜、俺達仕事してないし?」

「俗に言うヒキニートってやつ?」

「いや、寧ろ活発的に外出てるから」

「あー…そうですね」



俺は得意気にそう話すとAは困ったような引き笑いを浮かべる。


彼女は何でも顔に出やすい。



「あ、でも仕事は探してるからね!俺は!
将来絶対働くからね、俺は!」



俺の言葉にチョロ松はやけに『俺は』を強調しながら、Aの目を真っ直ぐに見て宣言する。


うわ、でた〜チョロシコスキー。

自称常識人でた〜〜うぜぇ〜…



「とか言いながら、結局皆いつまで経っても働かないよね」

「うっ……」



そんな『1人だけ違います』主張にAは笑いながらそう突くと、チョロ松は口を閉ざして目をそらす。

一瞬論破されたチョロ松に「ざまぁ」と笑ってやるが
直後のAの楽しそうな笑顔を見て、俺は笑うのをやめた。



「別に働かなくってもいいんじゃない?」

「で、でもそれじゃあ…母さん達にも悪いし…
それにこの歳でバイトもしてないとか正直ヤバイと…」

「だからって無理に働いても辛いだけだよ。

それに、それでチョロ松と遊べる日が減るのは嫌だなー…」



Aは少し寂しそうな顔をして目を伏せ、地面の小石を足で弄びながら呟く。


その顔は、本当に寂しそうで。

本当に嫌そうで。



「…ねぇねぇA〜、俺は?
俺が働いたら寂しい??嫌??」



そんな彼女の表情に見ないふりを決め込み、俺は“いつも通り”無邪気な笑顔を張り付けて自分を指差す。

するとAはクスッと笑ってから「おそ松は働かないでしょ」と微笑んだ。


……ズルいや、チョロ松は。

俺が欲しいAの言葉を、何でもすぐ貰っちゃうんだから。

どんな時でも1番最初に名前を呼んでもらえるんだから。


Aの視線を奪っちゃうんだから。


Aの全部を、チョロ松は全部、



「そっ…そんな事言われても…いつかは働くし…多分…」

「あ、チョロ松今ので揺らいじゃった??名前の通りチョロいねぇ〜」

「さっすがシコ松ぅ!」

「その呼び方やめろっ!!!」



今日も俺は、自分との葛藤を繰り返す。

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ルナストーン(プロフ) - *IJu*さん» なるほど…分かりました!ありがとうございます! (2020年10月14日 23時) (レス) id: f44ffe4945 (このIDを非表示/違反報告)
*IJu*(プロフ) - ルナストーンさん» バンは『七つの大罪』って作品に出て来るキャラですよ〜! (2020年10月14日 23時) (レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
ルナストーン(プロフ) - *IJu*さん» すみません…あの…バンって…なんの作品のキャラクターなのですか? (2020年10月14日 23時) (レス) id: f44ffe4945 (このIDを非表示/違反報告)
*IJu*(プロフ) - 蓮さん» 了解しましたー!お話が思いつき次第更新いたしますので、少々お待ち下さい! (2016年8月2日 22時) (レス) id: b02a163c50 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ゴウセルのデレデレお願いします! (2016年8月2日 21時) (レス) id: fde5658c77 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:*IJu* | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2016年2月2日 23時

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