◇ラプンツェルは思い出したくない ページ15
「ああ、クソっ…!お前のそういう所、目障りなんだよ…!!こっちは大人しく身を引いてやってるのに、お前は人の気も知らないでっ……!下手な世話焼きやがって!!」
「ふ、フドウ…!?あ、あんまり大きな声出したら…!」
「お前、忘れたのか?俺が今までお前に何したか?
俺がお前にした仕打ち、俺が吐いた暴言。
全部全部覚えてるのかよ、ちんちくりんがよォ!」
「……!」
何を憤っているんだろう。
イライラした顔でフドウは尚も吐き捨てる。
やめて。やめて。それ以上は言わないで。
それ以上、思い出させないで。
そんな私の思いを知らないフドウは
更に言葉を吐き続けた。
「何だったら、今ここで思い出させてあげましょーか?
俺がお前と出会ってから、今まで何度お前を傷付けたか」
「…………やめて…………」
「それとも、お前の頭は本当にお花畑で出来てるのか?
でなきゃ『嫌な事されたことないよ』なんてハッピーな事、言えるはずないもんなァ?」
「…………お願い…………」
「…なぁ、思い返してみろよ?
俺はお前に何をした?お前の大切な大切な佐久間と源田に何をした??そうして最後にどうなった???
まさか、それもひっくるめて、さっきの腑抜けたセリフか?だとしたら大したモンだねェ?」
誰か、誰か誰か、フドウを止めて。
あのお喋りなお口を縫い付けて。
これ以上、
ぐらぐらと火にかかったお鍋みたいに、胸の奥が熱くなる。
蓋をしていた中身が吹きこぼれてしまいそう。
嫌だ。フドウの前では絶対出したくない。
嫌だ。フドウに見られたくない。
嫌だ。嫌だ。嫌だ。
「こんなクソ野郎を許してくれるだなんて……」
「____許したとは、言ってない」
自分でも、驚くほど低い声が出た。
まるで自分の声じゃないみたい。
フドウも驚いたのか、ようやくお喋りをやめて私を見遣る。
「………………許したとは、言ってない」
もう一度言う。今度は言ってから、歯を食い縛る。
これ以上、汚い感情を口から出さないように。
そうして、目でフドウに訴えるとわかってくれたのか。
フドウは拍子抜けな顔をした後、ふっ、と笑って私を見下ろした。
「………なんだ。
お前も、そんな顔出来るんじゃないか」
そうして、やっとフドウは私から離れてくれた。
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*IJu*(プロフ) - カニ味噌汁さん» コメントありがとうございます!そんなにお褒め頂き嬉しいです…!楽しんで頂けているようで^^更新頑張りますー! (2022年10月17日 1時) (レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
カニ味噌汁(プロフ) - 今まで見てきたイナイレの作品の中で一番好きです!更新頑張ってください! (2022年10月11日 4時) (レス) @page45 id: cefe10f937 (このIDを非表示/違反報告)
mikitty(プロフ) - 更新ありがとうございます!! (2022年9月10日 1時) (レス) @page38 id: 75972ecbb8 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃんちゃん(プロフ) - 更新ありがとうございます!本当最高です! (2022年8月11日 16時) (レス) @page30 id: b236fc8679 (このIDを非表示/違反報告)
*IJu*(プロフ) - たけのこさん» コメントありがとうございます…!気に入って下さって嬉しいです^^更新頑張りますー! (2022年8月8日 14時) (レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
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