リ ボ ン の 檻 5 【真名部陣一郎】

△リボンが198こ▽ ページ5

「(マズい……マズい……！あのままじゃ……！)」



皆帆の性格をよく知る真名部は、彼等のやり取りを見て悪寒を感じた。


皆帆は人間観察が得意で、人の考えてる事をまるで読み取れるかのように察知する事が出来る人間だ。

考え、思考、そこから導き出される言動。
その全てが彼の前では丸裸にされ
いくら偽ろうと繕っても、必ず綻びを見つけてそこから本性を暴いて来るのだ。


Aは一見、子供のような無垢な少女に見えるが
今の皆帆にはどう映っているのだろう？

そのままの少女に見えているのか。
それとも、何か裏を感じて探っているのか。
もしかしたら彼はもう目の前の彼女が殺人犯であると確信しているのかもしれない。


人間観察に長けていない真名部には
皆帆の思考が理解出来ない。

出来ないからこそ、真名部は不安だった。
目の前の少女の本性が露呈してしまう事を。


そこから自分の居場所が特定されてしまう事を。



「でもいいや！みなほとお話出来るんだもん！
女の子の方はまた今度にするね！」

「う、うん……」

「…ところで、松風くんの話だとキミ、僕に話があるって聞いたけれど？

何でも、真名部くんについて何か知っているようだけど？」


「なっ…？！」



話を聞いて真名部は思わず声を出してしまい、慌てて片手で口を塞ぐ。

幸いな事に声は聞こえていなかったようだが
真名部は今の話を聞いて更に困惑してしまう。


Aが真名部の……つまり、自分の話をしようとしている？

今日はその為にわざわざここまで彼女は来たのだろうか？


だとしたらAが1人で出掛けたがったのも納得だ。

だって本人がいたらしづらい話だろうし
何より自分は誘拐されている身。
見つかるだけでも大変な騒ぎになる可能性がある。


しかも皆帆は自分の友人。
そんな彼の前に誘拐されたはずの真名部を見せたら
きっと何としてでも救おうと行動する。

だから真名部をこの場に連れて来たくなかったんだろう。

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