リ ボ ン の 檻 5 【真名部陣一郎】

△リボンが230こ▽ ページ37

『とりあえず、これからどうするの？』
『真名部、戻って来る気ないんでしょ？』

『警察からこっぴどく叱られたよ』
『んで、もう関わるなってさ』

『じゃあ、真名部の捜索は中止？』

『そうなっちゃうね』



皆帆がぼんやりしている間も、イナラインの会話は進む。

皆帆の代わりに瞬木、天馬が説明し
チャット内では『そりゃそうだ』『危ないもんね』と同調する声に混ざり、『警察に任せた方がいい』『もう事件に首を突っ込むな』と警察の人達のように注意する声も。


勿論、皆帆はもう関わるつもりはない。
関わった所で意味などないから。

あの真名部の様子じゃ、再び見つけても戻っては来ないだろう。
話し合っても何も解決しないだろう。


それだけじゃない。
真名部の家庭環境にも問題がある可能性まで皆帆の中で浮上した。

真名部の両親は過保護な程に真名部を大切にしているが、勉強については厳しく、例え満点を取っても褒められないと前に何度か聞いた事がある。


特に今の時期は受験シーズン。
真名部の受ける高校は超一流の難解校。

その為か最近は息抜きに誘っても断られ
めっきり会う事が出来なかった。



「(もしかしたら、真名部くんが戻って来ない原因の1つに彼の両親が関わっているのかもしれない……

そうだとしたら、僕達だけではやっぱり解決出来ない……真名部くんのご両親の問題も解決しないと……)」



そう頭では考えるが、簡単には行きそうにないと皆帆は考える。

真名部の両親……特に父親は厳格な人だ。
それでいて頑固な所がある。

1度だけ真名部の家にお邪魔する事になって、その時に会った事があるが、その際には鋭い眼光で見定めるように見られ、社交辞令程度の挨拶をされただけ。


皆帆が話した所で、果たしてあの父親は協力してくれるだろうか。


皆帆は1人、適当にあしらわれる所を想像し
1人溜息を吐いた。

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