△リボンが227こ▽ ページ34
「う、動かないで下さい……!
今のでテープの角度が4度ズレました……」
「だって私がやる時と全然違って、変な感じだから……うふふっ」
「(言い方に悪意を感じます……)」
Aの物言いに年頃の真名部はドキドキと胸を鳴らせながらも、計4本の医療用テープを貼り終えた。
貼り終わってからAに目を開くよう告げると
Aはパチッと濁った瞳を開き、そっと貼られたガーゼに手を当てた。
ガーゼはAが貼ったものより随分と丁寧に、それでいて綺麗に貼られていた。
十時に交差して貼られた医療用テープも寸分の狂いもなく、きっちり90度の角度で交わっていた。
「すごーい!まなべ、キレイ!」
「キレイ、って……鏡も見ていないのに」
「だって私がやる時と全然違うもん!
ちょっと見てくる!」
「えぇっ!そ、そんな事で……って、ちょっと!」
Aは言うが早いか、おもむろに立ち上がると
バタバタと洗面台の方へと駆け出した。
慌ただしい彼女に真名部も苦笑いを浮かべて見送り
洗面台から聞こえる「やっぱりキレイだよ!」と言う声を聞いて少し嬉しくも感じた。
「他に怪我とかありませんか?
ついでに手当てしましょう」
「ううん、無いよ!あとは痣だけだもん!」
「そっ……そうですか……」
「まなべは?おケガしてない?大丈夫?」
「ええ…僕は大丈夫です。
……アナタが守ってくれましたから」
「……」
内心複雑に思いつつも真名部は微笑みを浮かべ、そう告げる。
だがAは返事をくれず、じぃっと真名部を見つめ始めた。
初めはその視線を不思議な思い、戸惑っていた真名部だったが、少し考えてから彼女の訴えがわかり、真名部は言いづらそうにしながらも先程の言葉を訂正した。
「……A…さん、が…守ってくれましたから」
「うん!なら良かった!」
……どうやら彼女はもう名前で呼ばれないと返事をしなくなったらしい。
本当に慣れなくては、と真名部は微かに速まる心臓を抑えて苦笑いを浮かべた。
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*IJu*(プロフ) - あずさん» はじめまして!コメントありがとうございます!一気見するぐらい夢中になって頂けて嬉しいです(´˘`*)お褒めの言葉もありがとうございます、恐縮です…!これからも更新頑張りますー! (2021年2月8日 1時) (レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
あず - はじめまして…!今日このシリーズを見つけて、一気見してしまいました…!!!真名部が少しずつ追い詰められていく様子が細かく描写されていて凄く読み応えがありました…!!本当にすごいです!!これからも応援しております…!! (2021年2月7日 17時) (レス) id: 9c7942e2bb (このIDを非表示/違反報告)
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