△リボンが240こ▽ ページ47
「……もう、痛くはないんですか?」
話を聞いてから真名部は彼女の腕に視線を落とし、ぎこちなくも彼女に尋ねた。
見た所、全ての傷は塞がってはいるものの、赤黒く変色しズタズタに切り裂いた跡が生々しく残っている。
例え痛みが無かったとしても、とてもではないが大丈夫には見えない。
Aはそんな腕の傷跡を見遣り、撫でるようにもう片方の手で触れながら答えた。
「うーん、服が時々引っ掛かったりとかするけれど……痛くはないよ!」
「そ、そうですか……
……あと、あんまり触れないようにした方がいいですよ。バイ菌とか入ったら大変なんですから」
「…?じゃあ、お身体洗う時とかはどうすればいいの?」
「そっ…それはいいんですよ。
ただ、血が出ない程度の力加減で……」
首を傾げるAに真面目な真名部は言葉を続けるが
その途中で不意にAから「っしゅん」と静かに咬み殺すようなクシャミが出た。
クシャミをした途端、バッと自分の口元を覆うA。
チラリと真名部に向けられた瞳は、こちらの顔色を伺っているようだった。
きっとこの家ではクシャミ1つも安心して出来ない家だったんだろう。
その反応を見て真名部は一瞬悲しくなったが
直後に彼女がシャワーを浴びたばかりで服も着ていない事を思い出し、真名部は再び彼女から目をそらした。
「そっ…それより!あな…A、さん!服を、着て下さい!」
「あ、そう言えば私、まだシャワーの途中だった…」
「ならち、ちゃんと浴びて来て下さい…!
風邪を引いてしまいます…!」
「はーい!わかった!
でも、まなべもちゃんと寝るんだよ?
まだ寝てなきゃいけない時間だからね」
「は、はい……」
どうやら彼女はまだシャワーを浴びている途中だったようで、真名部が指摘すると素直に従い、最後に軽く手を振りながらバスルームの方へと戻って行った。
彼女が行ったのを確認してから真名部はホッと溜息を吐くと、Aの言う通り、まだ朝も早い時間なのでもう少し眠ろうとソファに戻った。
しかし、その気持ちとは裏腹に
先程まで一緒にいた彼女との事を思い出し、彼女の格好に今更悶え、1人毛布を被りながらゴロゴロとのたうち回る。
結果、その後は一睡も出来ず
3時間後にAに起こされ、2度目の朝を迎えた。
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*IJu*(プロフ) - あずさん» はじめまして!コメントありがとうございます!一気見するぐらい夢中になって頂けて嬉しいです(´˘`*)お褒めの言葉もありがとうございます、恐縮です…!これからも更新頑張りますー! (2021年2月8日 1時) (レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
あず - はじめまして…!今日このシリーズを見つけて、一気見してしまいました…!!!真名部が少しずつ追い詰められていく様子が細かく描写されていて凄く読み応えがありました…!!本当にすごいです!!これからも応援しております…!! (2021年2月7日 17時) (レス) id: 9c7942e2bb (このIDを非表示/違反報告)
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