△リボンが258こ▽ ページ16
「(うぅ、バレなくて良かった……)」
会計が終わり、ようやく店を出ると真名部は1つ息を吐いた。
レジの会計を行っている間、何人かの人が通り過ぎざまに真名部に視線を向けていたような気がしていたからだ。
勿論、ただの勘違いであって、自意識過剰なのかもしれないが、彼の今置かれている状況から視線に敏感になってしまっていて、なるべく誰かと目が合わないよう努めるので真名部は精一杯だった。
だが欲しい物は買えた。
あとは家に帰るだけ。
そうすればまた、彼女と過ごせる。
大好きな彼女との優しく安らぐ日々を過ごせる。
「(もう少しだけ待っていて下さい……
もう少し、あともう少しだけ……)」
脳裏に浮かぶAの顔。
彼女は今、どうしているだろう?
まだ眠っているだろうか?
ちゃんとあったかくして眠っているだろうか?
目が覚めていたなら、嘸かし寂しがっているだろう。
1人でいるのが寂しくて、もしかしたら泣いているかもしれない。
あまりにも寂しくて、また腕を切って……
……いや、そこは想像したくない。
とにかく、今は帰らなければ。
その一心で真名部は帰路につく。
帰りの道も行きと同じだ。
行き交う人々も行きと同じように真名部には無関心で、真名部は安心する。
足は自然とまた早足に。
走りたい衝動に駆られたが、歩いている人が多い中走る人は多少目立つ上に、走っている間に帽子が脱げたらと思うと走る気にはなれなかった。
それに自分は運動が苦手なのだから。
走った所でそこまで速度は変わらないだろう。
そんな下らない事を考えながら、歩いていた時だ。
「……真名部?」
ふと、背後から声を掛けられた。
「っ…!?」
思わず真名部の足が止まる。
聞き覚えのある声だ。
暫く聞いていなかった、懐かしい声。
真名部は後悔した。足を止めてしまった事を。
聞こえないふりをしてやり過ごす方法もあったのに。
つい、つい足が反応して止まってしまった。
今の真名部の反応でバレたと思うが、真名部はそれでも何とか誤魔化そうとそのまま振り返らずに歩き始める。
だが背後の人物は真名部の肩に手を置き、もう一度「真名部だろう?」と声を掛けた。
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*IJu*(プロフ) - 莉央夏さん» ストーリーは前々から薄ら出来上がっていたので、書いちゃいました()まだお話をまとめている途中なのでパスかけてありますが、お話が固まり次第公開しようと思いますので、気長に待って頂けると……!更新頑張ります! (2021年5月18日 22時) (レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
莉央夏 - 「箱庭少女の孤高哀歌」のその後を書いていただきありがとうございます!パスワードがかかっている為まだ見れていませんが無理なさらず投稿して下さい!応援してます♪ (2021年5月18日 18時) (レス) id: e85eafe245 (このIDを非表示/違反報告)
莉央夏 - ありがとうございます!気長に待ちますね!無理だけはなさらずに! (2021年5月12日 8時) (レス) id: e85eafe245 (このIDを非表示/違反報告)
*IJu*(プロフ) - 莉央夏さん» ですが、まさかこうしてわざわざ御希望のコメントを貰うとは……!ちょっと前向きに考えてみますね! (2021年5月11日 23時) (レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
*IJu*(プロフ) - 莉央夏さん» 他の作品も掛け持ちしてるし、まだまだ書きたい作品があるので優先順位が自分の中でどんどん後ろに追いやられている状態です…… (2021年5月11日 23時) (レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
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