△リボンが67こ▽ ページ21
……きっと彼女がこうして笑顔になるのは、母親がいない時ぐらいなんだろう。
自分の前ではこうして笑ってばかりだが
きっと連れてこられる前はこんなに笑ってなんかいなかったのかもしれない。
それに彼女と過ごしていて気付いたのだが
彼女は自分の意見をあまり言わないようだ。
先程、ワンピースを置く時も口では真名部だけと言いながら、物欲しそうにしていたし。
それに前に食パンを貰った時だって、お腹が鳴っても自分はお腹が空いていないと言い張っていた。
お気に入りの毛布だって、本当は自分が使いたかったのだろうし、自分に貸し続けてくれている。
彼女は今まで自分の意見を素直に言える環境では無かった。
もしかしたら言えない環境なのかもしれない。
それ故に、本当に思っている事は言わないし、欲しい物を欲しいとも言えない。
ならば、せめて自分の前だけでも素直になって貰いたい。
自分の前では気を使わずに言ってもらいたい。
そうしてその笑顔を、自分が守らなければ。
「(……それに、戻った所でどうせ……)」
ふと真名部の脳裏に両親の顔が過ぎる。
まさか両親も思わないだろう。
誘拐犯から逃げない原因の1つに自分達が挙げられている事など。
真名部は1つ溜息を吐くと
またフラフラと何処かへ行こうとするAの後を慌てて追って引き留めた。
−−−
ズボンが2着に上を4着。
次いでに靴下と地味色の鍔付き帽、ジャージを1組無事購入。
あとは勿論、彼女が欲しがっていたワンピースも購入した。
そうして真名部はようやく一息ついた。
会計時は財布を持っているAに任せようとしたのだが、如何せん彼女は文字が読めず、レジが値段を提示してもAはずっと首を傾げたまま、財布の中身と睨めっこをしていた。
すかさず真名部が助け舟を出し、彼女の財布の中身を確認しつつ停止された値段丁度を店員に渡して事なきを得た。
「(読み書き、教えた方がいいですかね…)」
「すごーい、じんくん!あっという間に計算出来ちゃうなんて!」
そんな事を考えながら、真名部は1度ベンチの方に向かう。
その間、Aはひたすら真名部の何でもない所を褒めていた。
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*IJu*(プロフ) - 僥姫さん» コメントありがとうございます!楽しんで頂けているようで作者も嬉しいです( ´ ▽ ` ) (2020年7月5日 2時) (レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
僥姫 - やばい 面白い (2020年7月2日 10時) (レス) id: b3f17b46d5 (このIDを非表示/違反報告)
*IJu*(プロフ) - 黒音_幻月さん» コメントありがとうございます!楽しんで頂けているようで作者も嬉しいです|ω`)これからも頑張らせてもらいます〜! (2020年6月18日 1時) (レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
黒音_幻月(プロフ) - 続編おめでとうございます。少しずつ主人公ちゃんに心を開き始めている真名部くんや、この先の展開にいつもワクワクしながら読み進めています。これからも応援させていただきます…! (2020年6月17日 6時) (レス) id: 71e1357481 (このIDを非表示/違反報告)
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