△リボンが66こ▽ ページ20
気付いたら真名部は再び階段を上がって、2階のフロアに来ていた。
そうしてAを探していた。
Aは女性服の方を見ていたようで
姿見の前で可愛らしいワンピースを手に取り、自分と重ねてくるくると1人で回っていた。
真名部はその姿を見て複雑な気持ちを抱くと
ついさっき自分が逃げようとしたのを悟られないように、その背中に声を掛けた。
「…こんな所にいたんですか」
「あっ！じんくん！」
するとAはくるりとワンピースごと振り返り、また無邪気な笑顔を浮かべた。
真名部はその笑顔を見て微かに目を細めると
Aは翳していたワンピースを下ろした。
「じんくん、お洋服見つかったの？」
「いいえ…その、なかなか良いのが見つからなくて。
……そちらは？」
「私？私は見てただけだよ！だって今日はじんくんのお洋服買いに来たんだもんね！」
見てただけ、そう言いながらワンピースを棚に戻すが
その時の横顔は何処か名残惜しそうだった。
真名部は口元を綻ばせると、Aが棚に戻したワンピースを手にして彼女に差し出す。
「…買えばいいじゃないですか。
気に入ったんでしょう？これ」
「えっ？で、でも…今日はじんくんのお洋服を…」
「別に僕だけのじゃなくてもいいじゃないですか。
1着ぐらい、自分用に買ってしまっては？
……まぁ、お財布の中身を気にしているようでしたら、話は別ですけれど……」
「…………いいの？」
ﾊﾟﾁﾊﾟﾁと瞬きをしながら、Aは真名部に尋ねた。
その瞳はｷﾗｷﾗと子供のように輝き、期待の込められた眼差しだった。
なので真名部は「勿論」と返すと、途端にAは弾けるような笑顔を浮かべた。
余程嬉しいのだろう。
真名部が差し出したワンピースを掴んで「これにする〜！！」と上機嫌に翳した。
「でもでも、本当にいいの！？私がこんな可愛い服買ってもいいの！？」
「いいと思いますよ。…その、とても似合っていますし」
「本当に？私、可愛い？変じゃない？」
「え、ええ…とても可愛いですよ。
それに、その……素敵です」
「わぁい！じんくんに褒められた！やったァ！」
真名部に褒められ、更に嬉しそうに笑うA。
あんまりにも嬉しいからか、まるでワルツでも踊るかのようにワンピースの袖を掴んでｸﾙｸﾙと回り出す。
真名部はその様子を見て、素直に微笑んだ。
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＊IJu＊(プロフ) - 僥姫さん» コメントありがとうございます！楽しんで頂けているようで作者も嬉しいです( ´ ▽ ` ) (2020年7月5日 2時) (
レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
僥姫 - やばい 面白い (2020年7月2日 10時) (レス) id: b3f17b46d5 (このIDを非表示/違反報告)
＊IJu＊(プロフ) - 黒音_幻月さん» コメントありがとうございます！楽しんで頂けているようで作者も嬉しいです|ω`)これからも頑張らせてもらいます〜！ (2020年6月18日 1時) (レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
黒音_幻月(プロフ) - 続編おめでとうございます。少しずつ主人公ちゃんに心を開き始めている真名部くんや、この先の展開にいつもワクワクしながら読み進めています。これからも応援させていただきます…! (2020年6月17日 6時) (レス) id: 71e1357481 (このIDを非表示/違反報告)
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