△リボンが65こ▽ ページ19
階段を駆け下り、1階に着くと勢いそのままにデパートの出入口へと向かう。
そのあまりの剣幕に途中、すれ違う人達に見られたが気にしていられない。
今はまず、逃げる事だけを考えなくては。
幸い、後ろから追って来ている様子も無い。
このままデパートの外に出れば、自分を見つけ出す事はまず不可能だろう。
「(ごめんなさい……！でもやはり、誘拐は犯罪なんです！
この事は僕の胸の内に秘めておけばいい。
そうすれば彼女が咎められる事は無い…！
そのままお互い、いつもの日常に戻れば、その内世間も忘れて……)」
………そこまで考えて、真名部はふと足を止める。
もうデパートの出入口は目の前なのに。
まるで何かに腕でも掴まれたかのように止まった。
いつもの、日常。
ふと真名部は彼女の話を思い起こす。
Aは母親から虐待を受けていた。
あの家では最早当たり前なのだろう。
自分がいなくなっても、きっと暴力は無くならない。
彼女の母親が帰って来たら間違いなく�狷�常�瓩伐修靴針塾呂�振るわれる。
「(……いや、でもっ…！だからって、彼女の元につくのはっ……！)」
思わず同情してしまったが、真名部は首を横に振って振り払う。
自分もあの場にいたら何をされるかわからない。
最悪、殺されてしまうかもしれない。
そうでなくても、きっとまともな扱いは受けないだろう。
娘である彼女でアレなのだ。
自分も同じような目に会うかもしれないし、もっと酷い目に会うかもしれない。
人間は結局、自分が可愛いんだと思う。
自分と他人、どちらか危険に会った時、まずは自分が助かろうとする。
少なくともこの時、真名部はそう考えてしまった。
心が無いと言われても仕方ない。
誰だって痛い目に会うのは嫌だろう。
半ば開き直り、真名部は再び駆け出そうと足を出す。
しかし、そこで何故だか脳裏に彼女の怯えた顔が浮かんでしまった。
自分がシャワーに入ると言った時の、あの顔。
身体は震え、顔を下げ、視線だけで相手を伺いながら
恐る恐ると言った様子でこちらに話し掛ける彼女。
今までどんな扱いを受けたら、あんな顔をするようになるのだろう。
何をされたら、あんな風に怯えるようになってしまうのか。
そうして自分がいなくなったら
一体誰が、彼女を守ってくれるのだろう。
「(ああ…だから、知りたくなかったんですよ)」
真名部は思わず、顔を顰めた。
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＊IJu＊(プロフ) - 僥姫さん» コメントありがとうございます！楽しんで頂けているようで作者も嬉しいです( ´ ▽ ` ) (2020年7月5日 2時) (
レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
僥姫 - やばい 面白い (2020年7月2日 10時) (レス) id: b3f17b46d5 (このIDを非表示/違反報告)
＊IJu＊(プロフ) - 黒音_幻月さん» コメントありがとうございます！楽しんで頂けているようで作者も嬉しいです|ω`)これからも頑張らせてもらいます〜！ (2020年6月18日 1時) (レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
黒音_幻月(プロフ) - 続編おめでとうございます。少しずつ主人公ちゃんに心を開き始めている真名部くんや、この先の展開にいつもワクワクしながら読み進めています。これからも応援させていただきます…! (2020年6月17日 6時) (レス) id: 71e1357481 (このIDを非表示/違反報告)
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