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△リボンが64こ▽ ページ18

「……あれ?」



ズボンのコーナーでジーンズを見ながら、そんな事を考えていた真名部だったが、ふと決して大人しくない彼女の声がしない事に真名部は気付く。

彼女は仕切りに話し掛けてくるような人だ。
好奇心の塊で、こういう所に来たら手当り次第に向かってってはいちいち報告しに来そうなのに。


気付いて真名部は顔を上げると、隣で男性服を見ていたはずのAの姿がいなかった。

キョロキョロと辺りを見渡しても彼女の姿は見当たらず、真名部は嫌な汗が背中に伝うのを感じた。


予想していなかったワケではない。
でも、まさか本当にいなくなるなんて。

家でも無防備に1人にされる事は何度かあった。
でも所詮は家の中だ。隠れてもすぐ見つかるだろうし、逃げても地理がわからなければ逃げ切れるかどうかわからない。


でも、此処は違う。外だ。

しかも人の多いデパート。
隠れる場所も逃げる道も沢山あるし、その気になればデパートの外にだって出れるし、幾らでも助けを呼べる。


そんな所に、誘拐した人間を1人置き去りにするのか?

逃げられるだとか考えていないのか?



…………逃げられる?



犯人目線で考えてしまっていたが、ふと自分の立場はそちら側ではない事を思い出す。


そうだ、これはチャンスだ。
彼女から逃げ出す、絶好のチャンス。

外で、しかも物陰だってある。
例えそう離れていないとしても、隠れて逃げ延びる事だって出来る。


こんな機会、そうそう無いだろう。
もしかしたらもう二度と訪れないかもしれない。


真名部は見ていたジーンズを棚に戻すと、鳴り響く心臓を抑えるように胸に手を置いた。

考えている暇は無い。
もしかしたら、また彼女は戻って来るかもしれない。
その前に逃げなくては。


急かすように鳴る心臓に真名部は粒汗を額に滲ませ、そうして顔を上げる。

今一度、辺りを見渡すが彼女の姿は見当たらない。



ソレを確認した真名部は、弾かれるように階段の方へと駆け出した。

△リボンが65こ▽→←△リボンが63こ▽



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*IJu*(プロフ) - 僥姫さん» コメントありがとうございます!楽しんで頂けているようで作者も嬉しいです( ´ ▽ ` ) (2020年7月5日 2時) (レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
僥姫 - やばい 面白い (2020年7月2日 10時) (レス) id: b3f17b46d5 (このIDを非表示/違反報告)
*IJu*(プロフ) - 黒音_幻月さん» コメントありがとうございます!楽しんで頂けているようで作者も嬉しいです|ω`)これからも頑張らせてもらいます〜! (2020年6月18日 1時) (レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
黒音_幻月(プロフ) - 続編おめでとうございます。少しずつ主人公ちゃんに心を開き始めている真名部くんや、この先の展開にいつもワクワクしながら読み進めています。これからも応援させていただきます…! (2020年6月17日 6時) (レス) id: 71e1357481 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:*IJu* | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年6月13日 1時

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