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△リボンが63こ▽ ページ17

「じんくん、遅いよ〜?早く早く〜!」

「そんなに急がなくてもいいじゃないですか……
階段ぐらいは僕のペースで行かせて下さい」



階段を先に駆け登り、上から真名部を見下ろし急かすA。
その後を真名部はゆっくりと着いて行く。

傍から見ればその光景はただの仲の良い男女。
誰も2人が誘拐犯とその被害者だとは思わないだろう。

真名部も内心、何をしているんだと考えていたが
その思考を何度も彼女が邪魔をする。


そうしてようやく2階に辿り着くと、Aは早速真名部の手を掴んで走り出した。

真名部はまだ慣れない体温に振り回されながらも
基本抵抗する事なく、彼女の赴くままについて行った。



「男の子の服は確かあっちだよ、じんくん!
でねでね、女の子の服はあっちにあるの!」

「お、女の子の服は着ないので別に……」

「そーなの?でもじんくん似合うと思うよ〜!」

「(……やっぱり、僕は男として見られていないんでしょうか……)」



男性服のコーナーの前に立ち、無邪気な彼女の一言に若干傷付ながらも、真名部は奥に入り込み、自分の服を探し始める。

その後ろをAは興味津々と言った様子でついて行った。



「(ズボンは絶対ですよね…制服のズボンで出歩くのはやはりマズいでしょうし。部屋用と出掛けるようで2着。上はニットが望ましいですが…最悪ワイシャツ数枚でもいいですかね。
…あ、でもジャージとかも意外とアリですね。
アレはとても動きやすいですし、通気性もいいし…)」



あれこれ服について考えてから、真名部はふと我に帰る。

自分はこんなところで本当に何をしているんだろう…
どうして誘拐されたのに、服なんて買いに着ているのか。


部屋用?出掛ける用?
自分は一体あそこにいつまで居座るつもりなんだろう。
またこうして外に出られるとも限らないのに、どうしてソレ用の服を買おうとしているんだろう。

そもそも、此処まで従順に着いて来たのも妙だ。
此処に来る間、何度も逃亡のチャンスはあったし
そうでなくても、今ならこの顔で助けを求めれば自分は助かるはずなのに。


どうしてソレを実行しないのか。

真名部自身、その理由がわからないと言えば嘘になる。


ただ、認めたくなかった。
ソレが理由だとするのなら、自分はあまりにも外道な人間だと。

世間一般的に見れば、糾弾されても可笑しくない。
情けないと、弱虫だと、恥だと言われても可笑しくない。


世間体を気にするからこそ、真名部は認めたくなかった。

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*IJu*(プロフ) - 僥姫さん» コメントありがとうございます!楽しんで頂けているようで作者も嬉しいです( ´ ▽ ` ) (2020年7月5日 2時) (レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
僥姫 - やばい 面白い (2020年7月2日 10時) (レス) id: b3f17b46d5 (このIDを非表示/違反報告)
*IJu*(プロフ) - 黒音_幻月さん» コメントありがとうございます!楽しんで頂けているようで作者も嬉しいです|ω`)これからも頑張らせてもらいます〜! (2020年6月18日 1時) (レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
黒音_幻月(プロフ) - 続編おめでとうございます。少しずつ主人公ちゃんに心を開き始めている真名部くんや、この先の展開にいつもワクワクしながら読み進めています。これからも応援させていただきます…! (2020年6月17日 6時) (レス) id: 71e1357481 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:*IJu* | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年6月13日 1時

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