◇ラプンツェルは心配性 ページ22
「皆いい感じよ！」
イナズマジャパンが2点リードした状態で前半戦は終わり、戻って来る皆に声を掛けながらドリンクとタオルを配って行く。
前半は絶好調だった。2点取れたのは大きい。
後半もこの調子で行けば、勝てちゃうかも。
………この調子で行ければ、ね。
「よし！後半もこの調子で行こうぜ！」
「あ…ああ…」
エンドウがいつものように皆を鼓舞するが
いつものような元気な声が聞こえない。
それどころか、返事をしたのはミドリカワだけ。
しかも息切れてやっと出た声って感じ。
それもそのはず、この炎天下の中、ずっと皆は走り回ってたんだから。
いつも以上に体力の減りは激しいはず。
周りを見てみれば、汗を流しながら苦しそうに呼吸をするイナズマジャパンの選手達。
中には地面にへたりこんでいる子だっていた。
一方、デザートライオンの選手はと言うと。
全くそんな様子はなく、寧ろ疲れた色さえ見えない。
デザートライオンの選手はイナズマジャパン以上に激しく動き回っていたはずなのに……
『疲れ知らずの体力』が特徴なのは本当みたい。
「前半でこうもへばるとは……情けない連中だ」
「……」
隣でまた意地悪な事を口にするフドウ。
試合に出れないからって。
でも今はそんな事より、ミドリカワが心配だった。
私はおもむろにミドリカワの元に歩み寄ると
余計なお世話と思いつつも、そっと彼に声を掛けた。
「あ……あの、ミドリカワ」
「…うん？どうしたの、ドジっ子ちゃん？」
疲れているせいか、反応が少し遅れた気がした。
私に気付いてミドリカワはきょとんとした顔をして私を見遣る。
私は頭の中で考える。
言葉を選んで、なるべく怒らないような、相手が納得するような言葉を。
でも私、頭が悪いから。
気の利いた言葉なんて浮かばない。
少しの間考えてから、私は恐る恐る口を開いた。
「あのあの、あのね……
………その、ミドリカワ……はね」
「うん？」
「………交代、した方がいいかも、って」
「……えっ？」
案の定、ミドリカワは驚いた顔をする。
そうして不満そうな顔もする。
だから慌てて私は首を横に振って「わ、悪い意味じゃないよ！」と続けるけど、ミドリカワは納得してくれるかな……
◇ラプンツェルは正直者ちゃん→←◇ラプンツェルとバナナシュート
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