【イナイレ】シッカーラプンツェル8【不動明王】 (ページ23)

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◇ラプンツェルは正直者ちゃんページ23

「ミドリカワの動きは良かったよ、勿論！
ちゃんと連携も取れてたし……」

「……」

「だけど……その、ホントは前から言いたかったんだけど……ミドリカワ、無理してるんじゃないかな、って……

頑張ってるのは分かるし、頑張りたいのも分かるけど……その、だから……えっと……」

今更かな、こんな事言うの。
後半は自分でも伝えたい事がｺﾞﾁｬｺﾞﾁｬになっちゃって、つっかえちゃうし。

でも最初は不満そうな顔をして聞いていたミドリカワも、だんだん表情からその不満が無くなり、残るのは意地。

眉を顰めてミドリカワは難しそうな顔をすると、困ったように溜息を吐いた。

「…つまり、Aちゃんは俺が倒れる前に交代して欲しい、って事なんだね？」

「そう！……じ、じゃなくって！
いや！ミドリカワが倒れるとは思ってないけど！
でもでも最近のミドリカワの特訓って、ハッキリ言ってオーバーワークって言うか……！
そ、そういうのって身体に悪いから…！」

「ふふっ、ウソ吐くのも下手っぴなんだね、正直者ちゃん？」

「うっ……」

また変なあだ名を付けられてしまい、私は思わず口篭る。

怒られると思ったけれど、私の気持ちが伝わったのかミドリカワは寧ろ微笑みを浮かべ、ﾎﾟﾝと私の頭の上に手を乗っけた。

「大丈夫！俺はまだ動けるから！
心配してくれてありがとうね、Aちゃん」

「み……ミドリカワ……」

「そーんな心配そうな顔しないでよ！
後半もカッコよく活躍しちゃうから！
良かったら応援してて！」

ﾎﾟﾝﾎﾟﾝと私の頭を撫でながらミドリカワは笑う。
でもやっぱり無理しているように見えて、心配は拭えなかった。

でもこれ以上強く声を掛けられない私も私だ。
アキだったら何がなんでも交代してもらおうと説得するんだろうな……

だけどそうしないのは、その気持ちがわかっちゃうから。

前の私もそうだったから。

「……うん。頑張ってね、ミドリカワ｣

だから私は笑顔で見送った。

その選択が間違っていると気付くのは
後半戦が始まってからだった。